講義に関するアンケートについて (応用数理 B: 2007 年度)


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はじめに

ここ数年新潟大学工学部では、学期末の最後の講義の時間に 講義に関するアンケートを行なっていて授業改善に役立てているようですが、 それに習って、全体の半分位の講義が終った段階で 「講義に対する不満、意見、質問等」を自由に書いてもらいました。

ただし、授業改善のためのものとしたかったので、 学籍番号と氏名を併記してもらい (出席と数えることはしません)、 「無責任な意見は書かないこと」と注意をした上で 書いてもらいました。 備忘録も兼ねてそれを以下にまとめておきます。
(11/27 2007)

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概要

回答は小さい紙を講義の最初に配って、 それに書いてもらって講義の最後に提出してもらいました。 回答総数は 40 枚、 その内訳は、

となりました。 のべで取りだしてみると、 となります。 この学科のこの科目に対する年毎の変化を見ると、以下のようになります。

年度2004 2005 2006 2007
なし or 肯定意見 (と質問) 45.9%59.6%64.0%52.5%
否定意見 (と質問) 18.0%21.1%22.0%27.5%
否定意見かつ肯定意見 29.5%10.5%12.0%15.0%

今年は否定的な意見を持つ学生は全体の 4 割程度で、 否定的意見を持つ学生が少しずつ増えているようですが、 逆に肯定的な意見を持つ学生も多く、「特になし」も含めて のべで数えれば全体の 68% 位になります。

否定的な意見や肯定的な意見を見ると、例年のことですが

を上げているものが多いようです。 これは、私の講義が、それなりに大学の講義形式の形を取りつつ、 過去のアンケート結果等を取り入れた形にしてきたからだと思いますが、 私は現在の講義の形態は、大学の講義として必ずしも最善ではなく、 以前行なっていた形態の方が大学の講義としてはふさわしいと思っています。 以前の講義とは以下のような形式です。

元々大学ではこのような講義が一般的であり (それなりの理由もあります)、 むしろ学生はその形式に慣れるべきである、と思います。 しかし、アンケートを取ってみると毎回大多数の学生に同じことを指摘されるので、 ある程度の譲歩を行なってきたわけですが、 現在はこれ以上は譲れないという程度まで来ていると思います。

今回肯定的な意見を書いた人も、 私の現在の講義方法 (多少高校風の授業に近い) に甘えず、 高校までの受身の学習法から脱却し、 必要だと思われることを自分で考え、自分で探し、自分で勉強する、 講義はむしろその自分での勉強を補佐する場と考える、 という能動的な学習法を身につけてもらいたいと思っています。

特に、最近は否定的意見や質問として試験に関する話が多く含まれる、 という傾向が見られます。 これは、現在新潟大学で行われているキャップ制や JABEE 制度との関連もあるのかもしれませんが、 大学の講義、そしてもちろんこの講義は試験のためにあるのではありません。 皆さんが、今後専門科目で必要となる知識、 あるいは社会に出たときの武器となる知識を身につけるためにあるはずです。 試験のために勉強している人は、 試験が済んだら忘れてしまってもいいと考えているかもしれませんが、 それなら大学に来ている意味はないだろうと思います。
(11/27 2007)

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書かれていたこと

肯定的な意見、不満や希望、質問を、 意見の多かった順にあげます (カッコ内はのべ人数)。 不満や希望、質問に対してはそれに対する回答も上げていますが、 以前のものとほぼ同じものはその回答をそのままつけています。

なお、小数意見としての不満を上げた人は、 それが小数意見なのだということもよく理解すべきだと思います。


(11/27 2007)

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回答


宿題が難しい

これには、宿題が難しくて正解が導けない、と意見もありましたが、

とも書いてありました。 この意見は、高校流の「解法のパターンを覚える」という意見に見えますが、 それはあまり意味がありません。

日本の教育の弱点としてよく指摘されるのは、「応用力の低さ」です。 実質的に同じ問題でも、少し問題の表現を変えただけで、 記号を変えただけで、もう解けなくなってしまう、 ということがよく言われます。 これは、理論を理解しているのではなく、 問題をパターンとして認識し、 それに対して「覚えている」解法を当てはめているからだろうと思われます。

社会の現場で大学で学んだ知識を応用するためには、 「パターン化された解法を身につけること」よりも、 「理論を理解し、パターンに当てはまらない問題にも対処できる能力」 が必要なのは明白です。 そのためには、演習問題をパターンを覚えるために解くのではなく、 理論を理解するために解く、という姿勢が必要です。 係数を変えただけの問題を解くのは、多分時間の無駄です。

また、間違いがあるのは、正解するよりもずっと有意義で、 その上で正解と比較すると、 自分の考えがどのように間違っているかを確認できますし、 その方が脳にも深く記憶されます。 間違いを恐れずに問題をやったらいいんではないかと思います。

それに、「ひねっている」とは思いません。 ほぼ講義の例題と同種、あるいはより易しい問題を出しているつもりです。 難しいと感じるのは、 そこに不足していたり忘れている知識やあることを意味します。 まずはそれらを補う必要があるでしょう。
(11/28 2007)

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問題を解く時間を取って欲しい

私は、講義時間中にすべての人が理解できるとは思っていませんし、 そのような講義をしてはいません。 大学の講義は、講義以外にそれと同じ位自分で勉強すると仮定して 単位の計算がなされています。 よって、問題を解いてみて理解を深めるのは、 自分で講義以外の時間にやってください。 問題は、宿題も出していますし、 または参考図書の問題をやってみるといいでしょう。
(11/27 2007)

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アンケートの時間を別に取って欲しかった

来年度は考えてみたいと思いますが、 ただ、講義は少し早く終わりましたし、 それなりに取ったつもりでした。

また、最初にアンケートの紙を配り 「途中に適当にアンケートを書いて」と言ったのは、 最後にアンケートの時間だけを 5 分位取ってそこで書くというやり方だと、 私自身、後であれを書けばよかった、などと思うことが多いからです。 講義を聞きながらだと、そういえばこれも、 などと思いつく項目もあろうかと思ってそのような形式を取っています。

ただ、事前にこのようなことをアナウンスした方がよかったかもしれませんね。
(11/27 2007)

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大変な内容である

何がどのように大変なのかの説明がないと、何とも答えられません。
(11/27 2007)

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数学者の顔の絵の紹介が印象的だった

以下に、それらの WWW ページへのリンクがありますので、 そちらも参照してください。


(11/27 2007)

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作成日: 11/28 2007
竹野茂治@新潟工科大学 (shige@iee.niit.ac.jp)