DiPerna 流 ([4],[5]) のやり方では、 この の最も大きな項の極限が「Young 測度の微分」になることを示し、 それが 0 であることから 以外にはサポートがないことを言うのであるが、 「測度の微分」はややとっつきにくいので、 ここでは (47) を利用し、 Lions ら ([6]) の方法のように に をかけて で積分することで、 以外にはサポートがないことを直接示すことにする。
命題 13 で を分割したが、 まずは の積分から考えることにする。 そのために、 をさらに 2 つに分け、
同様に、 の積分は、
よって、 に対して
同様に , と の積の積分を考えると、 の方は、 の がなく、 が と なっているだけなので、
残りの は であるから、Lebesgue 有界収束定理により、
に対し、次が成り立つ。
この命題 14 により、 Fubini の定理、Lebesgue 有界収束定理を用いれば
(48)
(49)
(50)
は、 となる測度 と なる によって
(51)
証明
まず、 が 0 でないように , が取れることを示す。
(52)
この命題 15 の証明で , が使われていて、
ここでは
としたが、
であればよいので、
そのような , はこれ以外にも無数にある。
このように , に対する制限が緩いのは、
8 節で述べたように (44) を用いることで、
, への強い仮定を置かずに
を示すことができたからにほかならない。
さて、最後にこの命題 15 の が 1 であることを示そう。 もしこれが言えれば、 は全測度 1 であるから
今、(40) に (51) を適用すると、 は 上 0 であるので、
この命題 16 と 4 節の性質 2., 4. を用いれば、その極限 が (3), (4) のエントロピー解であることは容易に示される。
竹野茂治@新潟工科大学