11 最後に

本稿では、補償コンパクト法の DiPerna 流の方法 ([4],[5]) を改良したものと Lions らの方法 ([6],[8]) を合わせた形で、 簡単な $P$ に対する 1 次元理想気体のエントロピー解の存在 (近似解の収束) を示す方法の概要を紹介したが、 本稿で工夫した方法については、$\gamma=5/3$ だけでなく、 (2) のすべての $\gamma$ についても同様のことが行えることがわかっている。

それを、[4] のように $1<\gamma\leq 5/3$ にまで拡張できるかどうかはまだ確認はしていないが、可能性はあるだろうと思う。 しかも本稿の方法であれば、[4] の $\gamma=5/3$ の壁を越えて、 $1<\gamma\leq 2$ にまで拡張できるのではないかと予想しているが、 その場合は $(\eta^{(1)},q^{(1)})$ が有界にはならないので本稿の論法には多少変更が必要となる。 それには $a$ に関する可積分性を利用して、 (47) を最終的に使用する (49) の

\begin{displaymath}
\lim_{n\rightarrow\infty}\int_R h(a)\langle B_n\rangle da=0
\end{displaymath}

に変えればなんとかなるのでは、と考えているが、 ただ、 $1<\gamma\leq 2$ の場合は、 1 節でも述べたように [6] で解決しているので、 それが言えたとしてもあまり意味はないだろうと思う。

竹野茂治@新潟工科大学
2010年1月6日