9 Bn の変形

8 節により $\langle B_n\rangle $ が 0 に収束することがわかったが、 この $B_n$ にも $o(1)$ な項が含まれているので、 ここでそれらを洗い出して分離しておくことにする。

まず、$B_n$ を展開して以下のように分ける。

\begin{eqnarray*}B_n
&=&
\eta_n\hat{\sigma}_n-\hat{\eta}_n\sigma_n
 &=&
\l...
...\int_z^w\hat{\psi}_n(s)ds\int_z^w(s-\lambda_2)\psi_n(s)ds\right\}\end{eqnarray*}


このとき $I_1$ は、$W_n=n(w-a)$, $Z_n=n(z-a)$ により
\begin{displaymath}
I_1
=
\frac{(w-z)}{3}(W_n-Z_n)^2\{\hat{\psi}_0(W_n)\psi_0(Z_n)
-\psi_0(W_n)\hat{\psi}_0(Z_n)\}
\end{displaymath}

と書けるが、例えば $W_n^2\hat{\psi}_0(W_n)\psi_0(Z_n)$ は 補題 11 の証明と同様にして、 $w,z,a\in[z_1,w_1]$ ($z\leq w$), $n$ に関して有界で かつ 0 に収束することがわかる。 これと同様にして、$I_1$ のすべての項が有界で 0 に収束することが示される。

$I_4$ も、補題 11 により有界で、

\begin{displaymath}
I_4
\rightarrow
4\{c_0X(a)(a-\lambda_2)\hat{c}_0X(a)-\hat{c}_0X(a)(a-\lambda_2)c_0X(a)\}
=0
\end{displaymath}

となる。

また $I_3$ は、

\begin{eqnarray*}I_3 &=& I_5+I_6,\\
I_5
&=&
2(w-z)\left\{(\hat{\psi}_n(w)+\h...
...
\left.
-(\psi_n(w)+\psi_n(z))\int_z^w\hat{\psi}_n(s)ds\right\}\end{eqnarray*}


と分け、
\begin{displaymath}
a-\lambda_2
=a-\frac{2w+z}{3}
=-(w-a)+\frac{w-z}{3}
=a-z-\frac{2(w-z)}{3}
\end{displaymath}

と考えると、$I_6$ はさらに
\begin{eqnarray*}I_6 &=& I_7+I_8,\\
I_7
&=&
\frac{2}{3}(w-z)^2\left\{\hat{\ps...
...{-(w-a)\psi_n(w)+(a-z)\psi_n(z)\}\int_z^w\hat{\psi}_n(s)ds\right]\end{eqnarray*}


と分けることができ、 補題 11 により $I_8$ は有界で 0 に収束することがわかる。 $I_7$ には $I_2$ に同類項が含まれるので、それらをまとめると結局次が言える。


命題 13

$B_n$ は、 $B_n=I_5+I_9+I_{10}+I_{11}$ と分けることができ、

\begin{eqnarray*}I_9 &=& \frac{2}{3}(w-z)^2\left\{\hat{\psi}_n(w)\int_z^w\psi_n(...
...z)\int_z^w\hat{\psi}_n(s)ds\right\},\\
I_{11} &=& I_1+I_4+I_8
\end{eqnarray*}


で、$I_{11}$ $w,z,a\in[z_1,w_1]$ ($z\leq w$), $n$ に関して有界で かつ 0 に収束する。


なお、この $I_5$ は有界ではあるが 0 には収束せず、 また $I_9$, $I_{10}$$O(n)$ な項である。

竹野茂治@新潟工科大学
2010年1月6日