2 基本事項
本節では、連立の保存則方程式 (1) に関する基本的な事項を紹介する。
なお、この式の導出については、
[12], [14] などを参照のこと。
まず、
の係数 は、
の単位を取り替えることで別なものに変更できることに注意する。
今
(: 定数) とすると、
(1) の 1 本目の式は、
2 本目の式は、
となるので、例えば
とすれば
の を と見た方程式と同じになる。
よって本稿では以後、 として考えることにする。
気体の運動量 を使って書けば、
(1) は以下のようになる。
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(3) |
この方程式 (3) に初期値
|
(4) |
を与えた初期値問題の解は一般には不連続性を持つので、
弱解を考える必要がある。
(, ) が (3), (4) の
弱解 であるとは、
任意のテスト関数
に対して
|
(5) |
を満たすことである。
実際にはこの弱解の存在は直接示されるわけではなく、
なんらかの大域的な近似解 (人工粘性法、差分近似法、動力学的近似など) を作ってその評価を行い、それ (の適当な部分列) が収束極限を持ち、
その極限が弱解となることを示す、という方法を取るのが普通である。
近似解については、4 節で簡単に説明する。
方程式 (3) を準線形の連立方程式形に書いて
とすると、
となり、この行列の固有値は
となる。例えば のときは である。
また、Riemann 不変量 , を次のように定義する。
これにより、解は , , の 3 通りの関数として考えることができることになるが、
特に相平面で考える際はこの の座標系で考えることが重要となる。
図 1:
() 平面
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図 2:
() 平面
|
なお、, , のそれぞれで
方程式 (1) を準線形の形に書いてみると以下のようになる。
(8) より、Riemann 不変量 は方程式 (1) を対角化するものであることがわかるが、
(1) から (6), (7), (8) への変形の計算は、
が滑らかであるときにしか成り立たず、
特に不連続性を持つ弱解に対しては成立しないことに注意する。
, も , を用いて次のように表せる。
特に のときは、
となる。
竹野茂治@新潟工科大学
2010年1月6日