3.7 バロトロピックのオイラー座標系の場合の例
2.5 節の最後に書いたように、
オイラー座標系での保存則方程式の圧力を のみの関数
とみて、質量保存則 (2.10) と
運動量保存則 (2.15) のみで
閉じた系と考えることも多い。ここでは、その場合を考えてみる。
この場合は通常等エントロピー流:
()
や等温流: を想定していることが多く、
を仮定する場合が多い。
まず、方程式を
の方程式に書き直すと、
3.5 節の計算により、
に関する方程式がこの場合は
となるので、 に関して
と書ける。
より、 の仮定の元で、固有値は
で、固有ベクトルは
より、
となり、
で、
となるので、
ならば 1-特性方向も 2-特性方向も
真性非線形となる。
() の場合であれば、
なので確かに正となる。
リーマン不変量は、
より、
を解いて、
となるので、
となるので、この左辺が 1-リーマン不変量となる。
同様に、2-リーマン不変量は、
となる。
なのでパラメータ となり、
よって 1-膨張波曲線 は、
|
(3.45) |
2-膨張波曲線 は
より なので
|
(3.46) |
となる。
() の場合で言えば、
なので、 と とで
のときの挙動が異なり、
は、
のときに
となる。つまり、 のときは は
のときに有限の のところで 軸に当たって止まるが、
のときには は 軸を漸近線として無限に伸びる。
なおこの違いは、リーマン問題が真空状態 () を解として
含むかどうかに関係する。
また、 の場合は (3.26) により、
であるから、
とすれば で、
となり、 の場合は (3.27) により、
であるから、
とすれば で、
となる。
に (3.26) を代入すると、
|
(3.47) |
となるので、これを について解けば、
そしてそれを (3.26) に代入すれば
を の式で表される。
例えば
() の場合、
(3.28) は
となるので、
のようになる。
また、 のときは (3.28) は
より、この場合は
となる。
同様に、 は、
となるから、
() の場合は、
の場合は、
となる。
竹野茂治@新潟工科大学
2018-08-01