2.2 節で
質量に対して , , , のように書いたものを、
質量を運動量で置き換えたものを , , , のように書くことにする。それを局所化したものを、
ここでは , と書くことにする。すなわち、
運動量は質量と速度の積なので、
のとき
2.3 節の (2.6) の関係式は、
そのまま , を , に
置き換えたものが成立し、その後の議論もそのまま成立する。
よって、この場合 (2.7) に変わって
, での運動量の変化を考えると、
それは運動量の流入と流出だけではなく力積も追加されるので、
もし、この気体には力としては圧力しか働いていない (つまり外力はない)
とすると、
を時刻 のときに での断面全体で左右に向く気体の圧力とすれば、
圧力はどの方向にも等しく働くスカラー量であるから、
の内部では圧力による力積は左右分が打ち消されるので 0 であり、
よって境界で働く圧力のみがこの内部の運動量の増減に関係する。
力積は、力と時間の積で得られるので、結局 は
エネルギー保存則も同様に考えることができ、
エネルギー密度を とすれば、
運動量の場合に境界からの追加が力積であった部分が、
エネルギーの場合は境界から仕事量として
この (2.10), (2.15), (2.16) の 3 本の連立微分方程式が、 1 次元の理想気体の基礎的な保存則方程式系であり、 この場合未知関数は、 や などと考えて 考察することになる。
また、圧力 が密度 のみによって決定するバロトロピー流 (、例えば等エントロピー流: , 等温流: など) であるという仮定を置いて、 エネルギー保存則 (2.16) を除いた (2.10), (2.15) の 2 本 だけで考察することもよく行われる。この場合は、 や を未知関数と考える。
竹野茂治@新潟工科大学