2.4 質量保存則

次に、$a\leq x\leq b$ での、時刻 $c\leq t\leq d$ の間の質量変化

\begin{displaymath}
M^1_{[a,b]}(d)-M^1_{[a,b]}(c)
\end{displaymath}

を考える。この質量の増加分は、 この間に $x=a$ に左から流入した質量 $N^1_{[c,d]}(a)$ と、 $x=b$ から右へ流出した質量 $N^1_{[c,d]}(b)$ との差に等しいので、
\begin{displaymath}
M^1_{[a,b]}(d)-M^1_{[a,b]}(c)=N^1_{[c,d]}(a)-N^1_{[c,d]}(b)\end{displaymath} (2.8)

が成り立つ。 これを $\bar{M}^1$, $\bar{N}^1$ で書き下すと、

\begin{eqnarray*}\lefteqn{\bar{M}^1(d,b)-\bar{M}^1(d,a)-\bar{M}^1(c,b)+\bar{M}^1...
... &=&
\bar{N}^1(d,a)-\bar{N}^1(c,a)-\bar{N}^1(d,b)+\bar{N}^1(c,b)\end{eqnarray*}

となる。 これは、任意の $a,b,c,d$ について成り立つので、 $(a,b,c,d)=(x_0,x,t_0,t)$ とすれば、 定義より $\bar{M}^1(t,x_0)=\bar{N}^1(t_0,x)=0$ なので、
\begin{displaymath}
%\bar{M}^1(t,x)-\bar{M}^1(t_0,x)=\bar{N}^1(t,x_0)-\bar{N}^1...
...\bar{M}^1(t,x)+\bar{N}^1(t,x)=\bar{M}^1(t_0,x)+\bar{N}^1(t,x_0)\end{displaymath} (2.9)

が得られる。

これを $t$$x$ で微分すれば、 右辺は $x$ のみの関数と $t$ のみの関数なので 0 となり、 また (2.3), (2.7) より

\begin{displaymath}
\rho_t+(\rho u)_x=0\end{displaymath} (2.10)

が得られる。これは質量保存を示す微分方程式で、連続の方程式 と呼ばれる。

なお、(2.9) は $\bar{M}^1$, $\bar{N}^1$ に対する質量保存則を意味する。

竹野茂治@新潟工科大学
2018-08-01