4.8 オイラー座標系の理想気体の場合
ここでは、オイラー座標系での理想気体の保存則方程式系
(3.12) の不連続解である 1-衝撃波、3-衝撃波、
2-接触不連続を求めてみる。
ランキン-ユゴニオ条件はこの場合、
![\begin{displaymath}
\begin{array}{l}
s[\rho]=[\rho u],\\
s[\rho u]=[\rho u^2...
...ht]
= \left[\frac{1}{2}\rho u^3+\rho eu+Pu\right]
\end{array}\end{displaymath}](img773.png) |
(4.91) |
となる。ここで、
とする (
,
)。
まずは 2-接触不連続を求める。
この場合、
は
の積分曲線であるから、
すなわち
,
がその曲線となる。
は
となる。この
,
が
(4.42) を満たすことは、
等より容易に検証できる。
この接触不連続は、固有ベクトルの積分曲線上を動くから、
2-リーマン不変量
を定数にするもの、
と考えることもできる。
よって、2-接触不連続曲線
は
となる。
次は衝撃波を求める。
(4.42) の 1 本目と 2 本目の式から
を消去すると
となる。ここで、(4.20) より、一般に
が成り立つので、
となり、よって
![\begin{displaymath}
\rho_0\rho[u]^2=[\rho][P]\end{displaymath}](img794.png) |
(4.93) |
が得られる。
また、(4.42) の 1 本目と 3 本目の式から
を消去すると
となるので、同様に (4.43) を使えば
![\begin{displaymath}
\rho_0\rho[u][B]=[\rho][Pu]\end{displaymath}](img796.png) |
(4.94) |
が得られるが、
なので、(4.45) は
と変形でき、これに (4.44) を代入すると、
となる。ここで (4.20) より、
であるから足して 2 で割れば
となるので、結局
が残ることになる。今
であることを示そう。
もし
であると、(4.42) より
となり、衝撃波では
なので
となり、
となるので
となってしまって不連続でなくなる。
よって
でなければならない。
よって、
となる。これを展開して
について解けば
となるので、
(
) と置くと、
となる。
より
なので、
が正であるためには
である必要がある。
そして、(4.44) より、
よって、
となる。以上により、
は
によって
 |
(4.95) |
のように表されることになる。
なお、これは
での表現であり、
厳密には
ではなく、命題 3.2 の
に
相当する。
この場合、命題 3.2 より、例えば接触不連続の条件
(4.39) は、
で言えば
 |
(4.96) |
より
となるので、
の固有値、固有ベクトルで考えればよいことがわかる。
衝撃波については、(4.34), (4.35) は次のようになる。
命題 4.4
,
が
(4.34), (4.35) を
満たすとき、
とするとき、
に対して次が成り立つ:
 |
(4.97) |
 |
(4.98) |
(
)
証明
命題 3.2 より
(4.49) の方は明らかに成り立つ。
また、(4.48) の最初の 2 本も
命題 3.2 と
式 (4.47) より明らか。
よって、(4.48) の最後の式のみを示す。
を
で 2 階微分すると
となるので
を代入すると
 |
(4.99) |
となる。
一方、命題 3.2 より
であるので、この式を
で微分すると
となり、
とすれば
となるので、(4.50) と
(4.51) の両辺を引き算すると、
となる。(4.34) より、この左辺は
となるので、これで (4.48) の最後の式が得られる。
よって、(4.34), (4.35) を
考えるときは
で考えても
で考えても、
同じ形で書けることになる。
式 (4.46) に戻る。
今、
として
を
に関して
マクローリン展開すると
となるので、
であることがわかる。同様に、
なので、
となる。よって、(4.46) の
を
と書くことにすると、
となるので、
,
となる。
これを 4.7 節の
と比較すると、
 |
(4.101) |
のように書けることがわかり、よって、
(
) が 3-衝撃波曲線、
(
) が 1-衝撃波曲線を与える。
衝撃波速度
は、
によって与えられる (複号は
が
,
が
)。
なので、(3.15) より
となるので、確かに
となる。
また、
の 2 階微分の
での値も、
と求められる。
補題 4.2 に従って、
この 2 階微分の値と
の値を比較してみる。
であるから、
となる。
よって、(4.52) にさらに
 |
(4.103) |
であれば、
となるので、この
によって
補題 4.2 を満たす
が
作れることになる。
(4.52), (4.54) を満たす
満たす
,
は、例えば
と取ればよいから、(4.46) の
の方 (
) に
(
) を
代入したのが 1-衝撃波曲線、
の方(
) に
(
) を
代入したのが 3-衝撃波曲線となる
(
は補題 4.3 より)。
ただし、
である必要があるので、1-衝撃波では
3-衝撃波では
の範囲である必要がある。
竹野茂治@新潟工科大学
2018-08-01