5 オイラー方程式の解

さて、微分方程式 (8) に戻ると、変数分離により、
\begin{displaymath}
\int\sqrt{\frac{G_1(f)}{k_1^2f^2-G_1(f)}} \frac{df}{f}
= \pm\int d\theta
\end{displaymath}

となるので、この解は $H(f(\theta))=\pm\theta+C$、すなわち、
\begin{displaymath}
f(\theta)=H^{-1}(\pm\theta + C)
\end{displaymath}

であることがわかる。 よって、これにより $f(0)=f(\phi_0)=R$ となるような解を作るには、 その 2 つのグラフをつながるようにつないで、
\begin{displaymath}
f(\theta) =
\left\{\begin{array}{ll}
H^{-1}(\theta) & (0...
...heta) & (H(r_1+0)\leq \theta\leq 2H(r_1+0))
\end{array}\right.\end{displaymath} (14)

とすればよい (図 4)。

あとは、この右端の $2H(r_1+0)$$\phi_0$ となるか、 すなわち $0<\phi_0<\pi$ に対して、

\begin{displaymath}
H(r_1+0)=\frac{\phi_0}{2}\end{displaymath} (15)

となるような定数 $k_1$ が常に一つ求まるかどうかを示せばよい。

例えば、均質な (2) の場合には、$H(r_1+0)$ は (11) であったから、 確かに $0<\phi_0<\pi$ である任意の $\phi_0$ に対して $H(r_1+0)=\phi_0/2$ となる $k_2$ ($>1$) がただ一つ求まり、そこから $k_1 = \sqrt{g_0(k_2^2-1)/(2R)}$ により $k_1$ が求まってくれる。

一般の $g(r)$ の場合にも、 次の命題 1 のように同様のことが成り立つことを示せる。

命題 1.
(12) の解 $r_1=r_1(k_1)$ に対し、
\begin{displaymath}
H(r_1+0)
=\int_{r_1}^R \sqrt{\frac{G_1(f)}{k_1^2f^2-G_1(f)}} \frac{df}{f}
\end{displaymath} (16)

$k_1$ の関数 $h(k_1)$ と見ると、 $h(k_1)$$k_1$ に関して増加関数であり、
$\displaystyle \lim_{k_1\rightarrow +0}{h(k_1)}$ $\textstyle =$ $\displaystyle 0,$ (17)
$\displaystyle \lim_{k_1\rightarrow \infty}{h(k_1)}$ $\textstyle =$ $\displaystyle \frac{\pi}{2}$ (18)

となる。
この命題 1 の証明は 8 節で行うが、 これにより $h(k_1)=H(r_1+0)$$k_1$ に関して $(0,\infty)$ から $(0,\pi/2)$ への 1 対 1 の関数であることになり、 よって (15) を満たす $k_1$ が任意の $\phi_0$ に 対して一つだけ求まることになる。 そしてそれによる (14) がオイラー方程式の解を与える。

竹野茂治@新潟工科大学
2017年2月24日