8 命題の証明
本節では、命題 1 を証明する。
は、
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(33) |
であり、 は (12) により決まるが、
逆に が から (13) により決まるとも
見れるので、
そう見ればこの は の関数 と
考えることもできる。それらは必要に応じて適宜使い分ける。
なお、
は
に対応し、
は
に
対応し、 と の増加方向は逆であることに注意する。
まず を動かすと、(33) の特異性を持つ分母も
動いてしまい、極限を考えにくいので、(33) を
以下により置換する。
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(34) |
これは、 に関して単調なので、 とも書けるが、
逆に を , の関数と見ることもできる。
それを とすると、
で、, なので、
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(35) |
となる。
まず、
、すなわち
の極限を考える。
は に関して増加、よって も に関して増加であり、
よって に対して
となっている。
今、
であるから、
で となるような () が取れる。
このとき、
であるから、
となり、よって (35) より
となり、右辺は
のとき 0 に収束するので、
これで (17) が示されたことになる。
次は
、すなわち
の極限を考える。
(35) をさらに と置換すると、
となる。ここで は を に書き換えたもの、
すなわち
である。
(34) より
なので、
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(36) |
となる。 は、
であるから、
で 0 に収束する。
よって、(36) の被積分関数は
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(37) |
に収束し、よって は、
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(38) |
となりそうである。
これが成り立つことをちゃんと示すために、次のルベーグ収束定理を用いる。
- 定理 2. (ルベーグ収束定理)
-
上の関数 , が、
すべての , で
を満たし、
であるとき、次が成り立つ。
この定理の証明は、ルベーグ積分の適当な成書 (例えば [3]) を参照。
今、
とすると、(36) は
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(39) |
となるが、
のとき
なので、
(39) の被積分関数の極限も (37) の
極限に等しい。
一方、 は増加関数なので、
であり、よって
となる。
より、
(39) の被積分関数は
とおさえられることがわかり、この右辺は によらず、
となる。よって定理 2 が適用でき、
確かに (38) が成り立つことがわかる。
となるので、これで (18) も示された。
最後は、 の単調性であるが、それは (36) を用いる。
(36) の分母には特異性はなく、
の形である。よって、 に対して の微分は、
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(40) |
となる。ここで、 の分母を とすると
は、
となるが、 は増加関数で , , より
となる。また、
であるから は に関して減少、
よって
となるので、
(40) から がわかる。
これで の単調性も示され、命題 1 が示されたことになる。
竹野茂治@新潟工科大学
2017年2月24日