2.6 ラグランジュ座標系
2.4, 2.5 節で
導いた保存則方程式は、固定座標系、いわゆるオイラー座標系での
理想気体の保存則方程式であるが、
流体の動きに付随する動座標系、いわゆるラグランジュ座標系での
考察もよく行われていて、特に 1 次元の気体の方程式に対しては、
質量座標系 という動座標系を使うと形が綺麗になることが知られていて、
ここではそれを紹介する。
質量座標とは、単に流体の運動に付随する動座標 を
の代わりに用いるのではなく、
ある基準となる流体位置
から までの質量
を空間座標として用いることをいう。
すなわち、
を の代わりの空間座標とすることになる。
なので、 であれば各 に対して は
の単調増加関数、すなわち 1 対 1 に対応することとなり、
の代わりに を新たな座標系と取ることができる。
つまり、
として の代わりに を座標系として考えるのが
質量座標系である。
今、質量座標系で が
と表されるとすると
(以後、 の関数を の関数と見る場合は
このように をつけて書き表すこととする)、
であり、(2.5), (2.10)
より、
となるので、
となる。これを、各保存則に適用すると、
となる。(2.18) を保存形にするために
とすると、
より、質量座標系による保存則方程式系
|
(2.19) |
が得られることになる。 は、
であるが、バロトロピー、すなわち が のみの関数であるとすれば、
は のみの関数となり、
等エントロピー流であれば
、
等温流であれば
のようになって、
(2.19) の最初の 2 本のみで閉じた方程式系となる。
この場合この 2 本からなる保存則方程式系を、
特に -system と呼ぶことがある。
竹野茂治@新潟工科大学
2018-08-01