2.2 密度と流量

ここでは、細長い管に入っている粘性のない理想気体の 1 次元的な運動 (管に沿った方向に右に行くか左に行くかだけ) を考えることにする。
図 2.1: 細長い管の中の気体
\includegraphics[width=0.7\textwidth]{cylinder.eps}

その管に沿って $x$ 軸を考え、次のような 2 つの量をまず考える。

\begin{displaymath}
\left\{\begin{array}{ll}
M^1_{[a,b]}(t)
&=
\mbox{時刻 ...
...\ の間に、位置 $x$\ を右側に通過した総質量}
\end{array}\right.\end{displaymath} (2.1)

後者は、左側に通過した気体の質量は負の質量と考えることにする。

これらの量を局所化して、密度、流量を定義する。 時刻 $t$, 位置 $x$ での単位長さあたりの気体の密度 $\rho=\rho(t,x)$、 および単位時間あたりの流量 $q=q(t,x)$ を、

\begin{displaymath}
\rho(t,x)=\lim_{\Delta x\rightarrow +0}
\frac{M^1_{[x,x+\D...
...elta t\rightarrow +0}
\frac{N^1_{[t,t+\Delta t]}(x)}{\Delta t}\end{displaymath} (2.2)

と定義する。

この (2.1) と (2.2) の関係を明確にするために、 以下のような関数 $\bar{M}^1$, $\bar{N}^1$ を導入する。

$x$ の基準点 $x_0$$t$ の基準時刻 $t_0$ を定めて、 $\bar{M}^1$, $\bar{N}^1$ をその基準からの $M^1$, $N^1$ の値、すなわち

\begin{displaymath}
\begin{array}{ll}
\bar{M}^1(t,x) & =
\left\{\begin{array}{...
...]}(x) & (\mbox{$t<t_0$\ のとき})
\end{array}\right.\end{array}\end{displaymath}

とすると、$M^1$, $N^1$$\bar{M}^1$, $\bar{N}^1$ の値の差

\begin{displaymath}
M^1_{[a,b]}(t) = \bar{M}^1(t,b)-\bar{M}^1(t,a),\hspace{1zw}
N^1_{[c,d]}(x) = \bar{N}^1(c,x)-\bar{N}^1(d,x)
\end{displaymath}

で表されるので、$\bar{M}^1$, $\bar{N}^1$ が微分可能であれば、 (2.2) は
\begin{displaymath}
\begin{array}{ll}
\rho(t,x)
&=
\displaystyle \lim_{\Del...
... t}
=
\frac{\partial\, \bar{N}^1}{\partial\, t}
\end{array}\end{displaymath} (2.3)

となる。

また、ここから逆に $M^1_{[a,b]}(t)$, $\bar{M}^1(t,x)$ 等は、 $\rho$, $q$ を用いて、

\begin{eqnarray*}&&
\bar{M}^1(t,x) = \int_{x_0}^x\rho(t,y)dy,\hspace{1zw}
M^1_...
...{t_0}^t q(s,x)ds,\hspace{1zw}
N^1_{[c,d]}(x) = \int_c^d q(t,x)dt\end{eqnarray*}

と書けることもわかる。

竹野茂治@新潟工科大学
2018-08-01