基礎数理 III (情報電子、建築 2 年)


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配布プリント、宿題の正答例

講義中に配布したプリント、および宿題の正答例などの PDF ファイルを ここに置きます。 手書で多少 (かなり ?) 見にくいものもありますが、 配布しているものと同じものです。

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その他 (補遺、余談等)


行列の要素の位置に関するお話し

例年 (昨年度までは基礎数理 I) 行列の要素の位置の数え方のときに している余談をあげておきます (今年は講義中にはしない予定なので)。

行列の要素は、左上を起点として、 上から i 番目、左から j 番目の位置にある成分を (i,j) 成分という風に数えます。これは通常の xy-平面の座標の見方とも 違いますのでやや戸惑いがあるかも知れません。 このような数え方は自然なのでしょうか。

同じ平面上の位置の指定の仕方として、将棋盤、碁盤の指定の仕方がありま す。将棋、囲碁とも平面を格子状に区切り、 そこに駒、碁石を乗せて並べていくわけですが、 将棋は格子で作られる長方形 (マス目) の中に、 囲碁は格子線同士の交点に並べるところが違います。

将棋の駒と囲碁の碁石の並べ方
そして、もちろんマス目の数も違うのですが、 新聞の棋譜を見ると、棋譜でのそれぞれの位置の数え方も違うようです。
将棋の駒と囲碁の碁石の並べ方
将棋は右上が起点、囲碁は左上が起点となっていて、 例えば将棋なら左上角に金があれば「9一金」と記録しますし、 囲碁なら右上角に黒石があれば「黒 19 の一」と記録するようです。

なお、上下を入れ替えると、 将棋の方は丁度 xy 平面の第 1 象限での座標の付け方と同じになりますが、 囲碁の方は xy 平面の x 軸を反対向きに取った座標の付け方 (つまり第 2 象限での座標の付け方) になります。

行列の要素の数え方は、囲碁の座標の付け方に似ていますが、 行列は縦の座標を先に数えるので、数える順番が違います。

他にも、例えば碁盤のように綺麗に配置されている町の区画の数え方があります。 札幌や京都が有名ですが、実はこれらも囲碁と将棋のような違いがあります。
札幌市中心街
札幌は計画都市として有名で、約 100m 四方の区画に綺麗に分かれています。 東西には南北に走る創成川通りを東西の起点 (y 軸) として 東何丁目、西何丁目という番号を振っていて、 南北には東西に延びる大通公園 (雪祭りの会場で有名) を南北の起点 (x 軸) として北何条、南何条という番号を振っています。 ただし、大通公園のすぐ北は「大通」で、その北から北一条、北二条、 のようになっています。

交差点の信号機には、その 2 つの角に丁名表示板がついていて 例えば図中 A の交差点には左上の区画の信号機に「北 2 西 2」、 右下の区画の信号機に「北 1 西 1」のように書かれていて、 それを見ることで現在の位置と方角がわかるようになっています (慣れないとちょっと考えますが)。

また、京都は昔の平安京が長安を真似て作った碁盤状の町で、 現在はかなりずれている部分もありますが、基本的に格子状の道路が 東西南北に走っています。
京都市中心街
札幌は区画に名前がついていますが、京都は道路に名前がついています。 道路間の距離は札幌のようにきちんとはしていませんが、 やはり交差点にはどの通りとどの通りの交差点であるか (例えば「寺町二条通り」のように) 書かれていますので、 通りの名前と順番を覚えておくとだいたいどの辺りかが分かることになります。

その通りの覚え方には覚え歌のようなものがあり、南北の方は
まる (丸太町) たけ (竹屋町) えびす (夷川) に (二条) おし (押小路) おいけ (御池)
あね (姉小路) さん (三条) ろっかく (六角) たこ (蛸薬師) にしき (錦小路)
....
東西の方は
てら (寺町) ごこ (御幸町) ふや (麸屋町) とみ (富小路) やな (柳馬場) さか (堺町) たか (高倉)
....
のような文句 (わらべ歌) で覚えているそうです。

京都では住所にもこの通り名が使われていて、例えば京都市役所の住所は 「京都市中京区寺町通御池上ル」 となっています。 最後の「上ル」は寺町通りと御池通りの交差点を 北へ少しだけ行くことを意味します (同様に「下ル」「東入ル」「西入ル」という言葉が使われています)。

ただし、実際には京都にも区画に名前がついた町名はあるそうです。 例えば京都市役所は「上本能寺前町 488 番地」のようになるそうです。 しかし、例えば手紙の住所などは通常通り名の方だけが使われています。

札幌はマスに名前がつくので将棋盤方式、 京都は通りに名前がつくので囲碁方式と言えるでしょう。

なんとなく札幌方式の方がすっきりしているような気がして、 そちらの方がいいのかなと思ったのですが、 札幌出身で、どちらかといえば京都方式の方がいい、 と言われた方がおられました。 その方の話では、
札幌では住所 (例えば北一条東二丁目) を元に探し歩くと、 1 辺 100m の区画全部が同じ町名なので、 最悪の場合一区画を一周 (約 400m) しないと見つからないことがあるが、 京都なら交差点から出発して、どちらに進むかが東入ルなどのように 指示されているので、少なくとも次の通りまでの間に見つかり、 最悪でも通りと通りの間の距離しか探さなくてすむ
ということでした。 皆さんはどう思われますか。
(10/14 2001)

ふと気がついたのですが、 以下の本にまさに上記の将棋と囲碁、札幌と京都の例が載っています。

上に書いたことよりももちろん岩堀先生の本の方が古いですし、 私は昔この本をざっと読んだことがありますので、 その記憶があって上のことを書いたのかもしれません。 内容は一応岩堀先生の話よりも追加されていますが、 そういう意味では私のオリジナルとは言えない点がありますので、 上の内容のオリジナリティに関しては 「岩堀先生の本を読んで感じたこと」という程度に思ってください。
(04/13 2008)

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4 次の行列式

3 次の行列式の計算はサラス-関のわかりやすい計算方法がありますが、 それは 4 次の行列式には使えません。

しかし、関は「解伏題之法」としてその方法を図にして説明しているようです。 私も以前どこかで見たような気がするのですが忘れてしまいました。 確か何枚かの計算方法により求めるというものだったと思います。

普通に考えると 4 次の行列式は 24 項の項が現われ、+ の物が 12 項、 - の物が 12 項あり、「サラス」式に + と - を重ねて図式化すると 1 枚で + が 4 項、- が 4 項の計 8 項書けることになりますから そのようなもの 3 枚で済むのですが、重ねなければ 6 枚です。 例えば以下のようになります。

4 次の行列式の 6 枚の図式化
これは単に左右に隣り合うものを線で結んでいるだけですが、 3 次の場合のサラスの方法はこれを外に回り込む線を使って 綺麗な覚えやすい対称性を持つ図式にしているわけです。 さて、この 4 次の場合の 6 枚の場合、うまく外に線を回り込ませて 覚えやすい形にできるでしょうか。 もし綺麗なものを思いついたら教えてください。 よさそうなものなら基礎数理でも使わせてもらうかも知れません。

なお、+ と - を重ねて図式化して 3 枚にすると例えば次のように なります (青が +, 赤が -)。

4 次の行列式の 3 枚の図式化
う〜ん、何が何だか分かりませんね。
(11/16 2001; 11/03 2002 修正)

以前ここに置いていた図 (4 次の行列式の 6 枚の図式化, 4 次の行列式の 3 枚の図式化) は、良く見たら間違えていました。どうもすみませんでした。 また、一つサラスの方法に近い計算法も思いつきましたので以下で説明します。

  1. まず、サラス風に斜めにかけ算をしたものを作ると 8 つの項ができますが、 これは 3 次のサラスの方法とは違い、下の図のように + の項と - の項が 順番に現われます。
    4 次の行列式のサラス風の計算
  2. 次に、下の図のように 2 行目を一番下に送り、3,4 行目を 1 行ずつ上に上げて
    2,3,4 行の入れ替え
    それから上と同じサラス風の計算をするとさらに 8 つの項が出来ます。
  3. この 2,3,4 行の入れ替えとサラス風の計算をもう一度繰り返すと さらに 8 つの項ができ、計 24 個の項が現われます。
これで多少サラス風の 4 次の行列式の計算ができることになります。 これであっていることは上の図を比較してみればわかると思います。
(11/03 2002)

追加情報ですが、 下の 「サラス−関の方法の拡張」 に、 これに関する理屈と、5 次以上の場合の拡張についての考察がありますので、 ご覧ください。
(07/26 2008)

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行列式の性質の証明について

線形代数の教科書では、行列式は順列の符号を使って定義されていますが、 講義ではその定義を採用せずに、 「1 列目での展開」によって帰納的な定義で説明しています。 ただ、このやり方だと、 その後の行列式の性質の証明が教科書通りにはいかなくなりますし、 中にはかなり難しくなってしまうものもあります。

講義ではそれらの証明はほとんど省いていますが、 帰納的な定義の場合のそれらの性質の証明を少し考えてみましたので、 ここにまとめておきます。

ただし、これらはかなり議論は煩雑ですし、 学生にとってはあまりおもしろいものではなく、 むしろ我々数学者等にしか興味のない話ではないかと思います。


(12/08 2006)

HTML 版に PDF ファイルへのリンクを追加しました。
(01/12 2009)

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サラス−関の方法の拡張

2 次、3 次の行列式には、いわゆる「サラス−関」の計算法、 すなわち斜めに成分をかけるという計算方法がありますが、 4 次以上の行列には一般にそのような計算方法は「ない」とされていて、 ある行や列に関して展開する、あるいはその前に基本変形を行う、 といった方法が普通です。

しかし、4 次に関しては、 上の 「4 次の行列式」 で、 行の入れかえを行った 3 枚の配置を考えることにより、 サラス--関の方法に準ずる計算が行えることを紹介しています。

では 5 次以上の場合はどうかというと、 この場合はこれと同等の方法では項の数や積の計算がかなり多くなるので、 むしろ基本変形を利用する方がずっと楽なのですが、 原理的には同じ手法で 5 次以上の行列式の計算もできますので、 それに関する理屈も含めてまとめたものを以下に置きます。


(07/26 2008)

HTML 版に PDF ファイルへのリンクを追加しました。
(01/12 2009)

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外積の大きさについて

ある学生から、

「ベクトルの外積 a×b の大きさが、 その 2 つのベクトルが作る平行四辺形の面積となるのがわからない」
という質問を受けました。 教科書では、それは定義なので、わからないと言われても困るのですが、 考えてみればベクトルの外積の具体的な計算問題では、 定義通りではなく通常は成分計算をやるので、 その大きさが定義通りに平行四辺形の面積になることは確かに自明ではなく、 教科書にもそれは書いてありません。

よって、ベクトルの外積の成分の式から、 ベクトルの外積の図形的な定義を導きだす、 ということを考えてみましたので、ここに置きます。


(05/26 2009)

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三次の逆行列とベクトルの外積

行列の逆行列は、余因子行列を行列式で割ったものになりますが、 定義通りに元の行列にかけて単位行列になるもの、 という計算をやると、そこにはベクトルの内積の計算が出てきて、 しかも、それが 0 となることからベクトルの垂直や、 特に 3 次の場合にはベクトルの外積の話がでてきます。

それを考えると、 余因子行列は元の行列の列ベクトルの外積で表されることになるのですが、 それをまとめたものを、ここに置きます。


(07/09 2010)

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作成日: 11/20 2017
竹野茂治@新潟工科大学 (shige@iee.niit.ac.jp)