5 結果から定数を消去

(4) から (5) が導くには、 3 節のように結果の形からそれを導く、という方法もある。

もし y が (5) であるとすると、 それを ex 倍すれば

yex = C1e2x + C2

となるので、この式を両辺微分すれば C2 が消え、

(yex)' = 2C1e2x

となる。そして次にこの式を e2x で割って微分すれば C1 も消えて
((yex)'e-2x)' = 0 (8)
となるはずである。 よって、逆に (4) から (8) が導ければ、 上の手順を逆にたどって (5) が得らえるだろう、 という方法である。

今、h = yex と置くと、

h' = (yex)' = y'ex + y(ex)' = y'ex + yex,  
h'' = (yex)'' = y''ex +2y'(ex)' + y(ex)'' = y''ex +2y'ex + yex  

なので、(4) から

h'' = 2(y'ex + yex)

となるが、この右辺は 2h' に等しく、
h'' = 2h' (9)
となる。この両辺を e-2x 倍すると、

h''e-2x -2h'e-2x = 0

となり、この式の左辺は h'e-2x を微分したものに等しい。つまり

(h'e-2x)' = 0

となるので、(3) により、h'e-2x が定数となり、

h' = (yex)' = C1e2x

が得られることになる。ここから y を求めるのは、 4 節の (6) 以降と同じようにすればよい。

ところで、(9) から 4 節の (6), (7) を導くこともでき、そここから結果として (5) を得ることもできる。

まず (9) より、 (h')' = 2(h') であるから、 3 節の結果により

h' = C1e2x

となるが、 h' = (yex)' = y'ex + yex なので、

y'ex + yex = C1e2x

となり、この両辺を ex で割れば (6) が得られる。

一方、(9) を (h' - 2h)' = 0 と見れば、 (3) により

h' - 2h = C2

となり、この左辺は、

h' - 2h = (yex)' - 2yex = y'ex + yex -2yex = y'ex - yex

なので、

y'ex - yex = C2

となり、両辺を ex で割れば (7) が得られるのである。

竹野茂治@新潟工科大学
2008年7月6日