には無関係な正の定数 , , を取って、以下を満たすようにすることができる:
, であれば次が成り立つ。
この定理 5.1 を満たす , であるが、まず、 はとりあえず であるとすれば、 での Riemann 問題の解の値 は に入ることになるが、 これが に入るように を取る。 (2.17) より、それには
(5.60)
今、 である範囲の -曲線を を一つとり ( の定義より は少なくともそれを満たす)、 その直後の -曲線 を一つとる。 この と の共通部分を 、異なる部分は、 , に属する部分をそれぞれ , とする (図 5.4)。
また、, の作る四角形のうち、 の南西線分と交わる波を , の南東線分と交わる波を , と交わる波を とする (図 5.5)。このとき、 は、
(5.61)
同様に は、
(5.62)
(5.64)
また、記号 で、 のうち
と交わる波と と交わる波同士で近づくものに関する和を
表すことにすると、, は
(5.67)
いま、もし と がともに衝撃波であれば、 やはり 1. と同じであるが、 が衝撃波で、 が衝撃波でない (膨張波か 0 の) 場合は、
, の場合も同様で、
最後に、 かつ の場合は、
(5.69)
(5.70)
(5.71)
(5.72)
5.1 節の最後に述べたように、 が定ベクトルである部分以外では から直後の -曲線を一つ一つたどって までたどりつくことが 可能であるから、 この (5.20), (5.21) は、 (5.18) が その途中の -曲線すべてに成り立つという仮定の下で から まで成り立ち、
(5.73)
ここで、一般に
(5.74)
(5.75)
(5.76)
(5.77)
定理 5.1 の (1) の方は、 (5.7), (5.8), (5.9), (5.23), (5.24) より、 上の に対して、
(5.78)
結局、(5.9), (5.26), (5.27) により、 , は
この証明より、この定理 5.1 は、 (5.22) から得られる (5.25) の形の不等式が重要な役割を果たしていることがわかるが、 この式が Glimm の差分近似解のすべての評価を支えるアプリオリ評価である。
双曲型保存則の非線形相互作用により、 をそのまま でおさえることはできず、 相互作用も考慮した の項がつくことでようやく単調性が導かれて、 初期値で評価できることになる。 このような相互作用項 の必要性は、 相互作用評価の定理 4.1 から予言されるものであり、 ここが Glimm 差分の評価の重要なポイントであると言える。
なお、通常のエネルギー汎関数が時刻に関して単調減少することになぞらえて、 (5.20), (5.21) のように -曲線に関する単調性を持つ汎関数 ( や ) のことを、 Glimm ポテンシャル と呼ぶことがある。
竹野茂治@新潟工科大学