-曲線 は、左から右に伸びる折れ線で、 の右隣りの頂点は、 か であるものを言う。 なお、 に対しては
なお、[Glimm], [Smoller] などでは、-曲線には 特にこれ以外の制限を設けてはいないが、 しばらくは () の 幅に入り、左右の両方に無限に伸びるもののみを考えるが、 のちほどそれとは別の、特別な -曲線も使う。
-曲線には、 方向を上と見て自然な半順序関係を考えることができる。 その順序に関する最小元、すなわち の範囲に 一意に決まる -曲線を と書くことにする。 また、1 つの頂点のみが異なる ( と ) -曲線の組を、 その大きい方 ( を持つ方) を、 小さい方 ( を持つ方) に対する直後の -曲線 と呼ぶ。
一つの -曲線に対して直後の -曲線はもちろん一意には決まらず、 たくさん存在する。
-曲線は、近似解の波と交差しながら左から右へ伸びていくが、
その交差する波に関して、次のような汎関数を定める:
(5.52) | ||||
(5.53) |
ここで、「交差する波」であるが、 例えば が膨張波 の中間にあり、 -曲線 は実際にはその膨張波の一部としか交わっていない場合 (図 5.3)、 その交わっている部分 の大きさ のみを 和に加えることとする。
また、 の、 と が「近づく」とは、 が の左にある場合は 、または で と の 少なくとも一方が衝撃波である場合を言う。 この場合は、波の出発点が離れているもの、 が違うものなどもすべて考えることにする。
3 節の Glimm 差分の作り方によれば、 -曲線と交わる波は高々有限個であるから , は有限和としてちゃんと定義できる。 また、 の大きいところには波がなくて は一定であるから、 そのような波のない場所でのみ異なる -曲線間の , の値は それぞれ同じものになる。 その値の意味で考えれば (つまり、波と交わらない部分のみが異なる -曲線を 同一視して考えれば)、どの -曲線 ( 幅に入るもの) も、 から有限個の直後の -曲線をたどってたどりつくことができることになる。 後で、そのような形での帰納法を用いて評価を求める。
竹野茂治@新潟工科大学