4.3.0.2 [A-2] の場合

この場合、同じ特性族の接触不連続 front 同士、膨張 front 同士は 衝突しないとしているので、 $j$-特性族は真性非線形で、 $\sigma'_i=\sigma'_j$$\sigma''_j$ の少なくとも一方は負、 すなわち衝撃 front となる。

$p\neq j$ であれば、 $\sigma_\alpha(t)\mathop{/ \backslash}\sigma'_j$ かどうかは、 $\sigma_\alpha(t)\mathop{/ \backslash}\sigma''_j$ かどうか、 および $\sigma_\alpha(t)\mathop{/ \backslash}\bar{\sigma}_j$ かどうかと一致するので $\Delta V_\alpha(\tau)$$j$-特性族の項は $\vert\bar{\sigma}_j\vert-\vert\sigma'_j\vert-\vert\sigma''_j\vert$ か 0 となる。 よっていずれの場合も

  $\displaystyle
\Delta V_\alpha(\tau)
\leq \sum_{k\neq j}\vert\bar{\sigma}_k\vert
+\vert\bar{\sigma}_j-\sigma'_j-\sigma''_j\vert$ (29)
で評価され、よって Lemma 7.2 (ii) より (27) が得られる。

$p=j$ の場合は、3.6 節と同じ 1. から 6. と同じ場合分けで考える。 なお、3.6 節で述べた通り、 $\sigma$ は十分小さいと見れば 2. の場合は起こらないとしてよいので、 2. を除外した 5 通りで考える。

まず、1. の $\sigma'_j<0$, $\sigma''_j<0$, $\bar{\sigma}_j<0$ の 場合は $\sigma_\alpha(t)>0$ より $\sigma_\alpha(t)\mathop{/ \backslash}\sigma'_j$, $\sigma_\alpha(t)\mathop{/ \backslash}\sigma''_j$, $\sigma_\alpha(t)\mathop{/ \backslash}\bar{\sigma}_j$ で、 $\Delta V_\alpha(\tau)$$j$-特性族の項は $\vert\bar{\sigma}_j\vert-\vert\sigma'_j\vert-\vert\sigma''_j\vert$ となるので、 (29) で評価される。

3. の $\sigma'_j<0$, $\sigma''_j>0$, $\bar{\sigma}_j<0$ の場合は、 $\sigma_\alpha(t)\mathop{/ \backslash}\sigma'_j$, $\sigma_\alpha(t)\mathop{/ \backslash}\bar{\sigma}_j$ だから $\Delta V_\alpha(\tau)$$j$-特性族の項は $\vert\bar{\sigma}_j\vert-\vert\sigma'_j\vert$ となるが、

$\displaystyle \vert\bar{\sigma}_j\vert-\vert\sigma'_j\vert
= -\bar{\sigma}_j+\s...
...a'_j-\sigma''_j)-\sigma''_j
\leq \vert\bar{\sigma}_j-\sigma'_j-\sigma''_j\vert
$

となるので、やはり (29) で評価される。

5. の $\sigma'_j>0$, $\sigma''_j<0$, $\bar{\sigma}_j<0$ の場合は、 3. の $\sigma'_j$$\sigma''_j$ を入れ変えただけの形で同じ評価が 示される。

4. の $\sigma'_j<0$, $\sigma''_j>0$, $\bar{\sigma}_j\geq 0$ の場合は、 $\Delta V_\alpha(\tau)$$j$-特性族の項は $-\vert\sigma'_j\vert$ のみ となるので、これも (29) で評価される。

6. の $\sigma'_j>0$, $\sigma''_j<0$, $\bar{\sigma}_j\geq 0$ の場合も 4. の $\sigma'_j$$\sigma''_j$ を入れ変えただけの形で同じ評価が 示される。

これで、[A-2] の場合はすべて (27) が 成り立つことがわかった。

竹野茂治@新潟工科大学
2020-06-03