6 IV の解
最後は IV の
の場合の方程式を考える。
この場合、
とすると であり、
(9) は、
(29)
となる。この場合 の動く範囲は実数全体となる。
まず
(30)
のプラスの方の解を考える。
なお、II の場合は、 は 0 にもなり得たため、
プラスの解とマイナスの解をつないで最大延長解を作ることができたが、
この IV の場合は、 は 0 にはなりえず、よって
最大延長解はプラスの (30) の解のみから作らなければ
いけないことに注意する。
とすると で、
となるので、(30) のプラスの方は
(31)
に対し
(32)
が、少なくとも
では成り立つことになる。
に対して (31) を
と置換すると、
(33)
となるので、(32) は
(34)
となる。左辺は
の間に入るので、
(34) は の有限範囲でのみ成立する。
(34) を について解くと、
に対しては
(35)
と書けることになる。
同様に、
に対しては、
(36)
によって (30) は
(37)
となり、
では
と置換すると、
なので、
となる。よって、
より、
(39)
となる。
これは、
から
への単調増加
な奇関数
(40)
を、補題 2 の 3. により実数全体に拡張した単調増加関数
に対応し、実際 の最大延長解はこれにより、
(41)
と書けることになる。この が滑らかであることを示すためには、
が補題 2 の 3. の条件、
すなわち
が有限で、
を
満たすことを示す必要がある。
(40) より、
となるので、
となり OK.
また、 は、
となるので、
となって、
これで が滑らかであることが示されたことになる。
この は振幅関数と呼ばれ、
と書かれることもあるようだが、
これもむしろ
のように拡張したものを
そのように書いているのだろうと思う。
また、(42) から、実は
(43)
であることが言え、
がより滑らかな解析関数で
あることから
(
) も
解析関数となることがわかる。
なお、私はそちらの専門家ではないので、なぜこれを「振幅」関数と
呼ぶのかはよくわからない。
また、 は単調増加関数で、当然周期的ではないが、
関数のグラフの形は 毎に同じ形が現れ、
ある意味で周期的な様子となる。実際、
(43) より、 は周期関数の積分
(44)
と書けるが、ここから、
(45)
とすると、
は周期関数となるから、
周期関数と 1 次式の和に分離できることになる。
なお、この は、 の対称性から
となり、 と置換すると
なので、
と求まる。
また、(30) のマイナスの方の解は、
言うまでもなく (41) の 倍となり、よって、
IV の一般解は、
(46)
となる。
竹野茂治@新潟工科大学
2024-12-06