5 III の解

次は III の $c_1=2\omega_0^2$ の場合の (13) の解を 考える。まずは $-\pi\leq\theta\leq\pi$ の範囲の解を見る。

この範囲では、 $\displaystyle z=\sin\frac{\theta}{2}$ により $\theta$ $-1\leq z\leq 1$ の範囲の $z$ が 1 対 1 に対応する。 (13) のプラスの方の方程式を $z$ の式に変換すると、

$\displaystyle z'=\frac{\theta'}{2}\cos\frac{\theta}{2} = w_0\cos^2\frac{\theta}{2}
= \omega_0(1-z^2)
$
より、$z=\pm 1$ の特異解以外の一般解は、
$\displaystyle \int\omega_0dt
= \int\frac{dz}{1-z^2}
= \int\frac{1}{2}\left(\f...
...rac{1}{1+z}\right)dz
= \frac{1}{2}\log\left\vert\frac{1+z}{1-z}\right\vert+c_3
$
となり、 $-1\leq z\leq 1$ より $(1+z)/(1-z)=e^{2\omega_0 t-2c_3}$ なので、
$\displaystyle
z
= \frac{e^{2\omega_0 t-2c_3}-1}{e^{2\omega_0 t-2c_3}+1}
= \...
...0 t+c_3}}%
{e^{\omega_0 t-c_3}+e^{-\omega_0 t+c_3}}
= \tanh(\omega_0 t - c_3)$ (27)
となる。 よって、(13) のマイナスの方も合わせると、 (13) の解は
$\displaystyle
\theta=\pm 2\arcsin(\tanh(\omega_0 t - c_3))$ (28)
となる。 この解が、$\theta=\pm\pi$ となるのは $t\rightarrow\pm\infty$ の ときなので、よって $-\pi\leq\theta\leq\pi$ の範囲を 越えることはない。

つまり、プラスの方は $t=-\infty$ の時間に $\theta=-\pi$ を出発して、 無限の時間かけて $\theta=\pi$ に届く解、 マイナスの方は $\theta=\pi$ から $\theta=-\pi$ まで 無限の時間かけて進むことになり、 この III の場合は振動しない解となる。 もちろん現実的にこの状況を起こすことはほぼ不可能である。

竹野茂治@新潟工科大学
2024-12-06