しかも、 と 、 と は、 下の方の額の硬貨がないので、 その分を全体で割った硬貨系での最適化と同じことになる。 すなわち、 円を 円で払う問題は、 全体を 5 で割った 1 円玉と 2 円玉の硬貨系で、 「1 円玉 1 枚と 2 円玉 3 枚 の 7 円」を、 「2 円玉 4 枚」の中から支払う問題と同じことになるし、 円を 円で払う問題は、 100 で割った 1 円と 5 円の硬貨系で、 「1 円玉 3 枚の 3 円」を「5 円玉 1 枚」の中から支払う問題と同じになる。
このように考えると、それぞれの分割単位での最適解を求める問題は、 代金の一番低い額の硬貨成分 は常に正であると仮定し、 で下から分割ができない場合のみを考えればいいことになる。
証明
もし、 ならば最下位 の で 分割ができてしまうので、 でなければならない。
その上の額でも、 で となる があれば 個の 円の の硬貨で 以下の の金額を越え、 やはりそこで分割できてしまうことになるので、 のすべての に対して でなければならない。
逆に、その両者が満たされていれば、 下から見てどこで止めても の額の方が の額を上回るので 分割はできないことは明らか。
よって後は命題 9 を満たす形式の , の場合の 最適化問題を解けばよいのだが、この場合解答は容易である。
証明
Step 1. まず、 より下の硬貨は払えないことを示す。
の硬貨は最大でも しか払えず、 これは より小さいので、 上から借りなければ支払えない。 よって、 のおつりは、
次は を帰納的に考えると、 の硬貨は一つ下の額の硬貨に貸しておつりを作っているので、 から一つ減ることになり、 やはり を払うことはできず、上から一つ借りなければいけない。 よって、 のおつりは、
よって、 では でなければならない。
Step 2. 次に 以上を含めた支払いについて考える。
Step 1. により、 は 以上の硬貨の支払いのみが 可能なことになるが、この場合は、どのように払っても 未満のおつりは同じであり、 しかも、それは一つ を借りなければ支払えないので、 そのおつり は、 未満の を で払った おつりとなる。
その下位のおつりのために、 は、
は にはよらないので、結局 は、 の支払い (とおつり ) を 最適にするものになる。
お札を一枚借りる場合も同じで、 命題 5 よりお札を借りなくて済むのであれば そういう解が最適なはずだし、 よってお札を借りる解が最適の場合は、 が には足りない場合なので、 どのような解も札を 1 枚借りることになる。 よって、それを硬貨と考えて最適解を求め、それを札に戻しても、 他の解との関係性 (それが最適であるという関係) に変化はない。
また、この命題 10 のいう最適解は、 命題 7 より一意的であることがわかる。 すなわち、 を支払う丁度の解か、 そうでなければ より大きくて に含まれる最も小さい額の硬貨 1 枚の極小解が最適解だということがわかる。 つまり、これにより次の命題 11 も証明できたことになる。
例えば、この節の最初に上げた、 円、 が 544 円の場合は、 円に対しては 円が最適解。 円に対しては が 円の最適解。 円に対しては が最適解となる。 よって、この場合の最適解は、支払いが の 542 円で、 おつり が 205 円、となる。
竹野茂治@新潟工科大学