命題 1 より周期超関数 は緩増加超関数なので、 ある自然数 , 正の定数 があって、任意の に対し
(15)
のフーリエ係数 , は、 に 関して高々多項式オーダー、すなわち によらないある自然数 と ある定数 があって
(16)
もちろん、このような大きなオーダーの係数のフーリエ級数は
普通の意味では収束しないが、
では収束することになる。
逆に、高々多項式オーダーであるようなフーリエ係数を持つフーリエ級数は、 ( ) で常に収束するだろうか。 これについては次のことが言える。
, が多項式オーダー、すなわち , であるとき、それらを係数とするフーリエ級数
(17)
この証明には、2 通りの方法があるが、 一つはその極限の周期超関数を具体的に構成する方法である。 は と仮定し (そうしてよい)、 から を取り除いたものを 形式的に 回積分すると
もう一つの方法は、任意の に対して が収束列 (コーシー列) となることを言い、 の弱完備性 (例えば [2] 定理 3.4.6) により、 その極限が に存在し、 それも に入ることが示される、という方法である。 こちらの方法の場合、 が収束列となることを示す必要があるが、 これは、次のようにして示される。
のフーリエ係数 , は、 任意の自然数 に対し
(18)
この証明にはベッセルの不等式を用いるが、
それは 9 節で紹介する。
この命題 11 の を と取れば、級数
この定理 10 から、 超関数の範疇でフーリエ級数が収束する必要十分条件は、 そのフーリエ係数が高々多項式オーダーであることがわかる。
竹野茂治@新潟工科大学