情報電子工学概論 1 のアンケート no.1 (04/10 2008)


目次


はじめに

1 回目の講義で課したアンケート項目は以下のものでした。

  1. コンピュータの現在の保有台数
  2. パソコンを持っている人はそれを何に使っているか、 持っていない人は欲しいと思うか、およびその理由
  3. コンピュータに関して今後どういうことを勉強したいか
回答数は 64 名でした。

実は最初の質問の「コンピュータ」というのは多少曖昧な言葉なのですが、 それに気がついた人はほとんどいなかったようで、 ほぼ全員が「パソコン」のことと判断したようでした。 次回の講義では少しその話もしたいと思います。


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集計結果


コンピュータの保有台数

多くの学生は、2 番目の質問との関連か、 所有する「パソコン」の台数を書いていたようです。 例年「自分用か家庭用か」と聞かれるので、 今年はそのあたりも明確に「家族で共有しているものもカウントすること」 と明示しました。結果は以下の通りです。

で、平均 1.23 台という結果になりました。 少しずつ年毎に違いはありますが、 ほぼ一昨年と同じような感じです。 過去のデータと少し違いが見られます。 過去のデータを含めて表にまとめてみます。

(単位なしの数字は人数)
2004 年 2005 年 2006 年 2007 年 2008 年
0 台 13 (20.3%) 16 (17.4%) 7 (10.8%) 4 ( 8.0%) 7 (10.9%)
1 台 41 (64.1%) 58 (63.0%) 43 (66.2%) 25 (50.0%) 41 (64.1%)
2 台 5 ( 7.8%) 14 (15.2%) 12 (18.5%) 12 (24.0%) 12 (18.8%)
3 台以上 5 ( 7.8%) 4 ( 4.3%) 3 ( 4.6%) 9 (18.0%) 4 ( 6.3%)
平均台数 1.11 台 1.12 台 1.22 台 1.58 台 1.23 台
(cf. 2004 年度の集計結果, 2005 年度の集計結果, 2006 年度の集計結果, 2007 年度の集計結果)

実家にはあるが今は一人暮らしなので手元にない、 という学生も 1 名いましたが、 2 番目のアンケートの回答は、 持っていない形での回答はしていませんでしたので、 持っていると勘定しました。

0 台の学生の割合はほぼ一昨年並で、 ここ 3 年程は 10% 位を推移していますので、 9 割位の学生が持っていることになります。 2004, 2005 年度と比べるとこのあたりから 保有率がだいぶ上がっているようです。

実は、2006 年度以外は 3 番目の講義をしていて、 このアンケートは 6 月中旬から 7 月初旬に取っていた (2006 年度は 04/24) ので、 大学入学後にパソコンを購入した人を考えると、 むしろそちらの方が保有率は高くてもいいはずなのに そうなっていないことになります。 つまり、2006 年度から保有率が高くなっているのは、 実質的に高くなっていると考えられます。 何が原因なんでしょうか。

平均台数は昨年より少なく一昨年とほぼ同じです。 ただし、昨年はアンケートを取った時期が遅かったので、 同じころにアンケートを取った一昨年と同じだとすると、 昨年ももしかすると同じころにアンケートを取れば 似たようなデータになったかもしれません。


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持っている人の使い道

パソコンを持っている人に、その使い道を聞きました。 持っている方の回答は 56 名でした。

複数の理由を上げている人もいましたが、 全部取り出して集計しました。 多少、分類してまとめます。 (割合はパソコンを持っている方に回答した人 56 名に対する割合)。

今年は講義時期が再び最初になったため、 「レポートや宿題」と答えた学生が少なかったです。 相変わらず最も多いのは「インターネット関連」の利用でしたが、 これは現在のパソコンの利用目的、購買目的の主たるものが インターネットであることを物語っていて、 つまりインターネットの普及がパソコンの普及を広めていることがわかります。 高校等でのインターネットに関する教育の影響もあるのかもしれません。

また、毎年感じるのですが、 情報電子工学科の学生にしては プログラミング (3.6%)、ホームページの作成 (1.8%) という回答が少ないのが寂しく感じます。 一昨年までは「OS の勉強」、「サーバの作成」などの 情報電子向きの利用もありましたが、 オリジナルな利用法が減っているような気がします。 しかしこれは、別の見方をすれば、 パソコンが「家電化」してきていて、 標準的な利用法を高校などで学んできている結果である、 と見ることもできるでしょう。

また、インターネットを利用している人のうち、 単に「インターネット」と回答している人が多く、、 中には「インターネット、チャット」などのようにややおかしな表現 (チャットはインターネットで行われることの一部)、 「ネット」や「ネトゲ」のようなあまり適切ではない表現もありました。 今回の講義の目的の一つが「インターネット≠ WWW」であること、 インターネットでは色々なことが行われていて、 WWW の利用はその一つにすぎないことを知ってもらうことだったので、 「インターネット」ではなく具体的に説明したり、 適切な用語で説明してもらいたかったので、 その点がやや残念でした。


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持っていない人は欲しいかどうか

パソコンを所有していない人 パソコンが欲しいかどうか、 およびその理由を上げてもらいました。 回答は 7 名でした。 複数の理由を上げている人もいましたが、 全部取り出して集計しました。

今年は欲しいとは思わない人はなく、 全員が欲しいという意見でしたが、 まだ 4 月で計算機の実習等を行っていないこともあって、 「便利そう」「使いそう」といった、やや抽象的な表現もありました。 しかし、他にはそれなりに具体的な意見が上がっているので、 これも高校などでのパソコンのリテラシ教育の影響が 出ているように見受けられます。


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コンピュータに関して勉強したいこと

コンピュータに関して勉強したいこと、をたずねましたが、 これも漠然としたもの、具体的なもの、色々ありました。 簡単に分類して、複数書いたものもすべて上げてみます。

多かったのは例年同様、 プログラミング、コンピュータハードウェア、ネットワークのようになっています。 ネットワークという意見が多かったのですが、 それは今回の講義がネットワークに関することだという理由だけではなく、 今年は昨年に比べて講義時期が早く、 他の講義 (例えばコンピュータリテラシなど) で コンピュータに関する内容が出てくる前にやっているので、 良く知らないという点で普段よく利用しているネットワーク (cf. 持っている人の使い道) という意見が多かったのではないかと想像しています。 しかし、それでもやはりプログラミングがかなり多い、 というのは、大学入学以前からうちの学科ではプログラミングを勉強できる、 という意識があったのだろうと思われます。

上記の回答のうち、 「回路」や「設計」、「プログラミング」は専門科目でもちろん勉強します。 「ネットワーク」「コンピュータの仕組み」もやることになりますが、 これらは多分皆さんが考えているよりも深い内容を学ぶことになるだろうと思います。 大学では、その講義を聞くことで明日にでもサーバを立ち上げられるとか、 コンピュータが組み立てられる、 といった表面的な内容はあまりやりません。 むしろ、通信の原理や、 皆さんがあまり目にはしてこなかったけど実はよく使われている通信の話、 あるいはハードウェアにしても具体的なハードウェアというよりも、 個々のハードウェアの原理や理論的な特性などを 学ぶことになるんだろうと思います。

表面的なもの、一般人の利用するものは日進月歩で、 そんなものを学んでも皆さんが大学を出るころには それが無駄になってしまうかもしれませんが、 原理や基礎となる理論は変わりませんし、 新しい技術に対応する、または新しいものを生みだす際には必要なものです。 大学はそのようなことを学ぶ場なので、 もし表面的な内容、自分で本を読んで簡単に調べられることは 講義に頼らずに自分で調べてみることをお勧めします。 「コンピュータ用語」、 「パソコンの知らない機能」、 「部品」 「パソコンの操作」 「タイピング」 「パソコンの自作」、 などもそのようなものにあたると思います。

また、毎年「プログラミング」を勉強したいと答える人は多いのですが (25.0%)、 実際に自分で勉強している人は 2 名 (3.6%) しかいませんでした。 これは、プログラミングを「自分で勉強してみたい」というよりも 「教えてもらって身につけたい」と考えている人が多いことを 意味しているように見えます。 もちろん、勉強しようにもどうしていいのか分からない、 という人もいるのかもしれませんが、 少しその気になって調べればその方法もわかるはずですので、 やはり「教えてもらって」と考えている人が多いことを 意味していると思います。

ところが、プログラミングは座学で習って覚える、 というよりも実習で理解しながら身につける、 という性格の非常に強い分野だと思いますので、 もしプログラミングを本当に勉強したいなら、 予習のつもりで積極的に自分からどんどん勉強してみた方がいいように思います。 どのようにしたら勉強できるか、については、 専門の先生にお聞きすれば多分教えてもらえるのではないかと思います。


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作成日: 04/16 2008
竹野茂治@新潟工科大学 (shige@iee.niit.ac.jp)