1 回目の講義で課したアンケート項目は以下のものでした。
実は最初の質問の「コンピュータ」というのは多少曖昧な言葉なのですが、 それに気がついた人はほとんどいなかったようで、 ほぼ全員が「パソコン」のことと判断したようでした。 次回の講義では少しその話もしたいと思います。
多くの学生は、2 番目の質問との関連か、 所有する「パソコン」の台数を書いていたようです。 例年「自分用か家庭用か」と聞かれるので、 今年はそのあたりも明確に「家族で共有しているものもカウントすること」 と明示しました。結果は以下の通りです。
で、平均 1.58 台という結果になりました。 少しずつ年毎に違いはありますが、 今年は全体の人数も少ないし、 欠席者も多かったためか (履修者は 63 名なので出席は 79.4%)、 過去のデータと少し違いが見られます。 過去のデータを含めて表にまとめてみます。
(単位なしの数字は人数)
2003 年 | 2004 年 | 2005 年 | 2006 年 | 2007 年 | |
---|---|---|---|---|---|
0 台 | 13 (14.6%) | 13 (20.3%) | 16 (17.4%) | 7 (10.8%) | 4 ( 8.0%) |
1 台 | 54 (60.7%) | 41 (64.1%) | 58 (63.0%) | 43 (66.2%) | 25 (50.0%) |
2 台 | 16 (18.0%) | 5 ( 7.8%) | 14 (15.2%) | 12 (18.5%) | 12 (24.0%) |
3 台以上 | 6 ( 6.7%) | 5 ( 7.8%) | 4 ( 4.3%) | 3 ( 4.6%) | 9 (18.0%) |
平均台数 | 1.22 台 | 1.11 台 | 1.12 台 | 1.22 台 | 1.58 台 |
正確には、0 台と答えたのは 2 名だったのですが、 2 番目の設問の回答を「持ってない」方の 回答としている学生が他に 2 名いましたので、 0 台を 4 名としました。 0 台の学生の割合が例年に比べてかなり少ないのですが、 実際には欠席者のデータを合わせると、 1 年生全体では 0 台の割合はもう少し増えるかもしれません。
むしろ例年と明確に違うのが、2 台、あるいは 3 台以上持っている、 という学生の多さです。 これは、実人数自体がすでにかなり多いので、 欠席者の分を合わせても割合としても例年よりはかなり高いです。 特に、3 台以上もっているという学生は、 3 台が 7 名、4 台が 1 名、5 台が 1 名、という結果でしたから、 古くからコンピュータになじんできている学生が増えてきているようです。
パソコンを持っている人に、その使い道を聞きました。 持っている方の回答は 46 名でした。
複数の理由を上げている人もいましたが、 全部取り出して集計しました。 多少、分類してまとめます。 (割合はパソコンを持っている方に回答した人 46 名に対する割合)。
今年は、昨年より講義時期が後ろになったこともあって、 昨年は見られなかった「レポートや宿題」との回答が復活しました。 「文書作成」という方の中にもその目的の学生もいるかもしれません。 しかし、相変わらず最も多いのは「インターネット関連」の利用でした。 これを見ても、現在の PC の利用目的、購買目的の主たるものが インターネットであることを物語っていて、 よって、インターネットの普及が PC の普及を広めていることがわかります。 これには、高校などでのインターネットに関する教育の影響も あるのかもしれません。
また、毎年感じるのですが、 情報電子工学科の学生にしては プログラミング (6.5%) という回答が少ないのが寂しいですし、 昨年までに見られたような「ホームページの作成」や「OS の勉強」、 「サーバの作成」などの情報電子向きの利用法や、 あるいはオリジナルな利用法が減っているような気がします。 しかしこれは、別の見方をすれば、 パソコンが「家電化」してきていて、 標準的な利用法を高校などで学んできている結果である、 と見ることもできるでしょう。
また、インターネットを利用している人のうち、 多くの人が単に「インターネット」と回答していましたが (12 名)、 今回の講義の目的の一つが「インターネット≠ WWW」であること、 つまりインターネットでは色々なことが行われていて、 WWW の利用はその一つにすぎないことを知ってもらうことであり、 「インターネット」ではなく具体的に説明してもらいたかったので、 その点がやや残念でした。
パソコンを所有していない人 パソコンが欲しいかどうか、 およびその理由を上げてもらいました。 回答は 4 名でした。 複数の理由を上げている人もいましたが、 全部取り出して集計しました。
今年は、例年に比べてもやや具体的な意見が多いように思いますが、 それは多分すでにいくつかの講義で パソコンを使っていることによる影響でしょう。
欲しいとは思わない人の意見が、単に「使わない」ということで、 なぜ使わないのかについては触れてありませんでしたが、 実は私も家にまでパソコンを持ちたいとは思いません (実際持っていません)。 それは学校で十分すぎるほど使っているからです。 パソコンとは多少距離を置いて物を考える、 パソコンの専門家にとっても意味のあることだと思いますので、 悪いことではありませんが、 情報電子ではコンピュータを「使わない」わけにはいきませんから、 もし「使わない」のがパソコンが嫌い、 といった理由なんだとすると多少問題かもしれません。
コンピュータに関して勉強したいこと、をたずねましたが、 これも漠然としたもの、具体的なもの、色々ありました。 簡単に分類して、複数書いたものもすべて上げてみます。
多かったのは例年同様、 プログラミング、コンピュータハードウェア、ネットワークのようになっています。 今年は、コンピュータリテラシ等で 行っているものに関するソフトなどの名前も出てくるのかなと思ったのですが、 意外にそのようなものは全然なく、 むしろ例年よりもマルチメディア関連の意見が多かったようです。
インターネット関連や、コンピュータの仕組みのようなものは、 通信に関する講義やハードウェアに関する講義で学ぶと思いますが、 多分それらは皆さんが考えている表面的な内容ではなく、 もっと深い内容だろうと思います。 つまり、その講義を聞いて、 明日にでもホームページを立ち上げられるとか、 コンピュータが組み立てられる、 といった表面的な内容は大学ではあまりやりません。 むしろ、その通信の原理や皆さんのような一般人が利用しない通信 (民生用ではなく企業の現場で使われているようなもの) であるとか、 具体的なハードウェアというよりも、 個々のハードウェアの原理や理論的な特性などを 学ぶことになるんだろうと思います。
表面的なもの、一般人の利用するものは日進月歩で、 そんなものを学んでも皆さんが大学を出るころには それが無駄になってしまうかもしれませんが、 原理や基礎となる理論は変わりませんし、 新しい技術に対応する、または新しいものを生みだす際には必要なものです。 大学はそのようなことを学ぶ場なので、 もし表面的な内容、自分で本を読んで簡単に調べられることは 講義に頼らずに自分で調べてみることをお勧めします。 「コンピュータ用語」、 「どのようなソフトウェアがあるのか」、 「音楽加工」、 「PC の基本」、 「コンピュータを活用するための知識」 なども多分そのような内容だろうと思います。
また、毎年「プログラミング」を勉強したいと答える人は多いのですが (38%)、 実際に自分で勉強している人は 3 名しかいませんでした。 これは、プログラミングを「自分で勉強してみたい」というよりも 「教えてもらって身につけたい」と考えている人が多いことを 意味しているように見えます。 もちろん、勉強しようにもどうしていいのか分からない、 という人もいるのかもしれませんが、 少しその気になって調べればその方法もわかるはずですので、 やはり「教えてもらって」と考えている人が多いことを 意味していると思います。
ところが、プログラミングは座学で習って覚える、 というよりも実習で理解しながら身につける、 という性格の非常に強い分野だと思いますので、 もしプログラミングを本当に勉強したいなら、 予習のつもりで積極的に自分からどんどん勉強してみた方がいいように思います。 どのようにしたら勉強できるか、については、 専門の先生にお聞きすれば多分教えてもらえるのではないかと思います。
アンケートの最後に、「講義に関して何かあればその他自由に書いてください」 とつけましたが、1 名だけ意見がありましたのであげておきます。