1 回目の講義で課したアンケート項目は以下のものでした。
実は最初の質問の「コンピュータ」というのは多少曖昧な言葉なのですが、 例年ほぼ全員が「パソコン」のことと判断しているようですが、 今年はそれに何人かの学生が気がついたようで、 実際に質問もされました。 次回の講義ではその話もしますが、 これは現在高校で「情報」の科目が行なわれている影響かもしれませんね。
多くの学生は、2 番目の質問との関連か、 所有する「パソコン」の台数を書いていたようです。 例年「自分用か家庭用か」と聞かれるので、 今年はそのあたりも明確に「家庭用も含めて自分が普段利用できるもの」 と明示しました。結果は以下の通りです。
で、平均 1.22 台という結果になりました。 少しずつ年毎に違いはありますが、 今年は全体の人数も少ないためか、 過去のデータと少し違いが見られます。 過去のデータを含めて表にまとめてみます。
(単位なしの数字は人数)
2002 年 | 2003 年 | 2004 年 | 2005 年 | 2006 年 | |
---|---|---|---|---|---|
0 台 | 19 (20.9%) | 13 (14.6%) | 13 (20.3%) | 16 (17.4%) | 7 (10.8%) |
1 台 | 56 (61.5%) | 54 (60.7%) | 41 (64.1%) | 58 (63.0%) | 43 (66.2%) |
2 台 | 11 (12.9%) | 16 (18.0%) | 5 ( 7.8%) | 14 (15.2%) | 12 (18.5%) |
3 台以上 | 5 ( 5.5%) | 6 ( 6.7%) | 5 ( 7.8%) | 4 ( 4.3%) | 3 ( 4.6%) |
平均台数 | 1.02 台 | 1.22 台 | 1.11 台 | 1.12 台 | 1.22 台 |
3 台以上の学生の一人は、 2 番目の設問の回答が「持ってない」方の回答だったので、 PC の所有台数でいえば 0 台に含めるべきで、 逆に、0 台という学生のうち一人は、 2 番目の設問の回答が「持っている」方の回答だったので、 差し引きすると 0 台という学生の数は 7 名でいいようです。
0 台という学生は過去最低の約 1 割、 1 台、2 台という学生も過去最高、 所有平均台数も過去最高となりました。 ただし、上の 3 台以上の学生の修正等を行うと、 PC の平均所有台数は 1.15 台になりますので、 平均台数はそれほど高くはありません。 しかし、少なくとも今年の学生は、 PC を所有する学生の割合は多いようです。
多い台数を答えた学生は 3 台が 1 名、4 台が 1名、5 台が 1 名でしたが、 5 台という学生は上に書いたように、 「パソコン」ではなくて正しく「コンピュータ」のことを答えていたようです。
パソコンを持っている人に、その使い道を聞きました。 持っている方の回答は 54 名で上の数字と少し違いがありますが、 どうやら、家族用のパソコンがある学生で、 「持っていない」方の回答をした人もいたようです。
複数の理由を上げている人もいましたが、 全部取り出して集計しました。 多少、分類してまとめます。 (割合はパソコンを持っている方に回答した人に対する割合)。
今年は、今までよりも私の講義時期が早かった (今までは私が最後だったので、6 月下旬だった) ので、 レポート作成等の講義用に利用している、 という回答がほとんどなかったのですが、 それ以外は、インターネット、ゲーム、マルチメディアという結果で、 それは例年とあまり変わりませんが、 今年は特に「インターネット」という回答が多かったように思います。
インターネットの普及が PC の普及を広めていること、 あるいは高校などでのインターネットに関する教育が生きていることなどが その要因であると予想されます。
また、毎年感じるのですが、 情報電子工学科の学生にしては プログラミング (3.7%)、ホームページの作成 (1.9%)、OS の勉強 (1.9%) という回答が少なかったのがやや寂しい気がします。 ただ、現在の MS-Windows だと、プログラミングや、OS の勉強などは やや難しいようにも思いますので、仕方ないかも知れませんね。 その辺りも今後考えてもらえると、と思います。
また、インターネットを利用している人のうち、 多くの人が単に「インターネット」と回答していましたが、 今回の講義の目的の一つが「インターネット≠ WWW」であること、 つまりインターネットでは色々なことが行われていて、 WWW の利用はその一つにすぎないことを知ってもらうことだったので、 やや残念に思いました。
パソコンを所有していない人 パソコンが欲しいかどうか、 およびその理由を上げてもらいました。 回答は 11 名で上の数字と少し違いがありますが、 どうやら、家族用のパソコンがある学生で、 「持っていない」方の回答をした人もいたようです。 複数の理由を上げている人もいましたが、 全部取り出して集計しました。
今年は全員が欲しい (個人用のものが欲しい) という意見でしたが、 一方で、持っている、という人の中に 「特に使っていないので、個人用のものが欲しいとは思わない」 という人も一人いました。 理由はやはりインターネットが一番でしたが、 現在のパソコンの代表的な利用法としての「インターネット」は だいぶ浸透しているようですね。
ただ、やはり「プログラミング」や「勉強用に」という意見が少なかったのは 少し残念に思います。
コンピュータに関して勉強したいこと、をたずねましたが、 これも漠然としたもの、具体的なもの、色々ありました。 簡単に分類して、複数書いたものもすべて上げてみます。
多かったのは例年同様、 プログラミング、コンピュータハードウェア、ネットワークのようになりました。 今年はこの講義の時期も関係して、 コンピュータリテラシなどの講義で出てくる用語など (ワープロ、パワーポイント等) は全然見られませんでした。
単に「ソフトウェア」と書いた人が 1 割位いたのですが、 こう書かれても、ソフトウェアの作り方 (プログラミング) の話なのか、 具体的なアプリケーションソフトウェアの使い方の話なのか、 ソフトウェアの動作の基本原理の話 (アルゴリズムや OS の話) なのか、 の区別がつきませんでした。
毎年「プログラミング」を勉強したいと答える人は多いのですが (41.5%)、 実際に自分で勉強している人は 2 名しかいなかったのは、 プログラミングを「自分で勉強してみたい」というよりも 「教えてもらって身につけたい」と考えている人が多いことを 意味しているように見えます。 もちろん、勉強しようにもどうしていいのか分からない、 という人もいるのかもしれませんが、 少しその気になって調べればその方法もわかるはずですので、 やはりプログラミングは大学で教えてもらって、 と考えている人が多いように思います。
ところが、プログラミングは座学で習って覚える、 というよりも実習で理解しながら身につける、 という性格の非常に強い分野だと思いますので、 もしプログラミングを本当に勉強したいなら、 予習のつもりで積極的に自分からどんどん勉強してみた方がいいように思います。
「パソコンの組み立て方」や「基本的な使い方」、「使いこなし方」 などは、「ワープロソフトや表計算などの利用法」などと同様に、 大学の講義としては、 現在行われているコンピュータリテラシ以外には 多分あまりやらないのではないかと思います。 例えばコンピュータの専門学校ならば、 そういう科目を重点的に教えるのかも知れませんが、 大学は 4,5 年で入れ替わってしまうような表面的な技術を学ぶ場所ではなく、 それらの基盤となる技術や理論を学び、 新しい技術に対応できる本質的な知識を身につける、 または、新しいものを作るために内部構造を詳しく勉強する、 ということを主に行います。 自分でも何らかの本を読めば簡単に調べられるようなことは 大学では多分講義等はほとんどやりませんので、 必要だと感じる人は是非自分で勉強してみてください。
ただ、個人的には「ホームページの作り方」なんかは、 色々な意味で、そういう実習があってもいいかなと思うのですがね。
アンケートの最後に、「講義に関して何かあればその他自由に書いてください」 と言ったのですが、今回は何か書いている人は一人もいませんでした。
ただ、「群しい」(詳しい ?)、「要語」(用語 ?) のような誤字が目につきました。 また、数名から直接以下のような質問を受けましたので、 次節 (「質問と回答」) に回答をつけておきます。
課題として「A4 1 枚」と板書しましたが、 それは裏表 2 ページ 1 枚ではなく、 1 ページ (表のみ) の意味でした。
もちろん、裏表 2 ページを使って長く書いてもらっても構いません。
(05/07 2006)
これは、実は多少引っかけにもなっているのですが、
「何を意味しているのかによって答えが違う」とも言われました。
つまりある程度「コンピュータ」という言葉の意味を
よく把握しているのだと思いますが、
その言葉に対する判断もあなたにゆだねていますので、
あなたが思った通りに書いてもらえばよかったのです。
(05/07 2006)
いえ、購入する必要はありません。
教科書ではなく、あくまで参考図書として示しただけです。
もちろん、興味があるようなら購入して読んでみるといいでしょう。
(05/07 2006)