5 n 回微分して元に戻る関数
次は、一般の 回微分して元に戻る関数を考えてみる。
これまでの、1 回から 4 回微分して元に戻る関数の結果をまとめると、
以下の通り。
さらに、(3) と (12) より、
(18)
もわかる。
これらの微分方程式を の形に書いて、
その多項式 とこれらの解を見比べると、
いくつかの性質が予想される。
- が 次式ならば は、
の形となる。
証明は容易ではないが、これは正しい。
- 2.
-
と因数分解され、
, ならば
。
これは、
と簡単に証明できる。
一方、この 2. の逆の、
- 3.
-
と因数分解される場合、
となる任意の に対し、, ,
かつ となる , が存在する。
は、一般には無理で、3. が成り立つためには、 と が互いに素、
すなわち定数以外の公約多項式を持たないことが必要であり、
逆に と が互いに素であれば 3. は成立する (証明は易しくない)。
よって、 を互いに素なものに因数分解し、
とし、その各々に対し となる を求めて
となれば、 となる はそれらすべての和
と書ける。
例えば、3 回微分して元に戻る関数 の場合は、
なので、 となる 、すなわち (4) と、
となる 、すなわち (12) を加えた
ものが 、すなわち (9) の形になる。
だから、3. の事実を使ってよいなら前節までの議論はだいぶ易しくなる (が、
3. 自体の証明は易しくない)。
(14) から (18) までの方程式の、
という代数方程式の解を書いてみると、
のようになる。これらの解と、微分方程式の解を見比べると、
次の事も予想される。
- 4.
-
ならば
- 5.
-
で、 の解が
(虚数) ならば、
これらはいずれも正しい。4. は [1] の と同じようにして、
5. は (3) から を求めたときと
同じようにすれば示すことができる。
実数係数の 次代数方程式は、代数学の基本定理により、
実数係数の 1 次式か 2 次式のみの積の形に因数分解できることが
知られているので、 が重解を持たなければ、
これらの性質を組み合わせることで のすべての解が
得られることになる。ただし、重解を持つ場合は少し面倒である。
さて、 回の微分で元に戻る は、
を満たすが、この場合の は
で、
の解は、複素数のド・モアブルの定理により
(19)
となることが知られていて、重解はない。
が奇数の場合、(19) のうち
実数解は () のみ、あとはすべて虚数解で、
のものと のものが共役な解である (
)。
よって、この場合 は、4., 5. の線形結合
となる。
が偶数の場合、(19) のうち
実数解は () と () の 2 つで、
と のものが共役な解となる (
)。
よって、この場合 は、 とすれば、
となる。
竹野茂治@新潟工科大学
2021-12-03