2 微分演算子による分解

まず、3 回微分して元に戻る関数
  $\displaystyle
y''' = y$ (1)
について考える。 [1] と同様、微分演算子 $D=d/dx$ を用いると (1) は、
$\displaystyle y''' - y = D^3y - y = (D^3-1)y = 0
$
と書け、そして $D^3-1$
$\displaystyle D^3 - 1 = (D-1)(D^2+D+1) = (D^2+D+1)(D-1)
$
と因数分解できるので、
\begin{eqnarray*}h &=& y''+y'+y \hspace{0.5zw}(= (D^2+D+1)y)\\
z &=& y'-y \hspace{0.5zw}(= (D-1)y)\end{eqnarray*}
とおけば、
$\displaystyle h'-h$ $\textstyle =$ $\displaystyle (D-1)h = (D-1)(D^2+D+1)y = (D^3-1)y = 0$ (2)
$\displaystyle z''+z'+z$ $\textstyle =$ $\displaystyle (D^2+D+1)z = (D^2+D+1)(D-1)y = (D^3-1)y = 0$ (3)
となる。 この (2) から $h$ を求めることで $y$ を求めるか、 (3) から $z$ を求めることで $y$ を求めるかの 2 通りが 考えられる。

なお、線形微分方程式の一般論を知っていると、 むしろこの (2)、(3) の両方の解から 元の (1) の解がわかるのであるが、 それについても後で紹介する。

竹野茂治@新潟工科大学
2021-12-03