6 複素数乗
の定義式 (3) の発展として、
最後に「複素数乗」を考えてみる。
(3) の定義は単に自然数乗しか使わないので、
この式の を複素数にしても問題はない。
それにより、いわゆるオイラーの公式による複素数乗が
得られるのかを考えてみる。
なお、その考察のために、まず複素数列の収束性を定義し、
複素数の極形式、ド・モアブルの公式を復習しておく。
さて、まず (3) の右辺の を ( は実数) とした式の極限を考える。
を極形式で表すと、
となる。ここで、 は
と取れ、
,
より、
であることに注意する。
ド・モアブルの公式より、
となるが、先頭の根号の中身は命題 4 により、
のときに 1 に収束する。
一方、
であるから
であり、よく知られているように
であるから、
となることがわかる。よって、 の極限は、
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(37) |
となるから、これにより を (3) によって
複素数に拡張すると、
|
(38) |
が成り立つことになる。これは、いわゆるオイラーの公式
「
」に対応する。
さらに を一般の複素数 ( は実数) とすると、
となり、 である を考えれば なので、
より、
で
となることがわかる。
一方、
であり、これは命題 4 により、
のときに
に収束する。
よって、
となることが (24) からわかる。これは、
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(39) |
を意味し、これも通常の の複素数乗の式に対応する。
そして、(39) を用いれば、複素数に対する指数法則
|
(40) |
( は自然数) も容易に示される。
竹野茂治@新潟工科大学
2017年2月2日