5 原始関数のラプラス変換
もう一つ、ラプラス変換の単射性を示すために利用する、
原始関数のラプラス変換の公式
(22)
を本節で示しておく。なお、 は 、, の
いずれかであるとし、よって
は、
3 節の結果により で存在する。
まずは、 の場合を考える。
この場合は、通常の証明と同じだが、一応示す。
以後、本節を通して
(23)
とする。
より、 は連続、 で、 も存在し、
よって は有界で、 に対し、
となるが、仮定、および定理 3 より
は存在するので、(24) の極限も存在し
となるので、
これで の場合は (22) が示された。
次は の場合を考える。
この場合、仮定より、
であり、また
であるから、定義関数 を
(25)
とすると、
なので、フビニの定理により、
となって (22) が成り立つ。
これで の場合も (22) が示された。
最後は の場合。
この場合、リーマン広義積分に対し、積分の順序交換が成り立つかを
丁寧に吟味する必要がある。
の除外集合を
,
,
および (3) の を取る。
補題 6 (リーマン広義積分での順序交換)
に対して、
が成り立つ。
証明
(15), (16) を
利用する。積分を分けて、
とすると、 は
で、, には より
(15), (16) を
適用すれば、
となる。よってこれらを合わせれば、
となって、補題 6 の最後の式が得られる。
この補題を用いて、 のときの (22) を示す。
この場合も、(23) の は連続、 で、
は存在し、よって は有界となり、 で の
ラプラス変換は存在する。
と分け、
とすると、
であり、よってその和は、 より、
となる。
一方、 は補題 6 より
積分の順序交換ができて、
となるので、その和は
となる。よって、合計すると、
となるが、
, より
,
となるので、これで の場合も (22) が
成り立つことがわかった。
定理 7 (原始関数のラプラス変換)
が , , のいずれかの元であれば、
に対し (22) が成り立つ。
竹野茂治@新潟工科大学
2023-08-07