単射性の定理はほぼ次の形となる。
命題 B
ここで、 とすれば、命題 B は
「, が 上の関数で、 が で存在し、 かつ で となる
ほとんどすべての () で となる。」
4 節の定理 5 の 1. を使えば、 実はある場合には容易に単射性を示すことができる。
が 上の連続関数で、 極限 が存在する ような が取れ、 かつ となる が存在すれば、 となる。証明
とし とすると、 仮定より極限
これで、 が連続で、いわゆる指数型
次は、, , のようなより一般の関数のクラスでは どうなるかを考える。 がこれらいずれかの関数で、 を の収束点とし、
とする。 を一つ取ると 3 節で説明したように は か か に入るので、 とすると、 は連続関数で、は連続で、 が存在するので、 これで定理 8 が について適用でき、 よって に対して となる。 あとは から が導けるかを考えればよい。
まず、 の場合は、 は絶対連続であり、 ほとんどすべての で微分可能で、
となることが知られている。よって より、 ほとんどすべての で となることがわかる。の場合も、除外集合以外の では その近傍ではルベーグ可積分なので同じ議論を用いることができ、 よってほとんどすべての で となる。
の場合は、不連続点以外では は 微分可能で (30) となるので、 その集積しない 以外では となる。
結局次がわかったことになる。
が , , のいずれかに属し、 収束点 が であり、 ある () に対して 上 と なるとき、 のほとんどすべての で ( の場合は集積しない高々可算個の不連続点を除いて) となる。
竹野茂治@新潟工科大学