next up previous
Next: 4 単独保存則方程式 Up: compensated compactness と保存則方程式について Previous: 2 1 次元保存則方程式 (PDF ��������: paper10.pdf)


3 弱解の存在定理

良く知られているように、保存則方程式は初期値が滑らかでも、 有限時刻内に解に不連続性が現われる現象が起こり得る。 これは気体力学での衝撃波に対応していて、よってそれを含むような 解を考える必要があり、そのために通常は弱解を考えることになる。

現在までに知られている、弱解の存在の証明方法には

  1. 単独保存則に対する全変動の直接評価
  2. Glimm の差分法
  3. 波面追跡法 (front-tracking method)
  4. 補完測度法 (compensated compactness)
のような方法が知られている。 これらによる先駆的な結果を表にまとめると以下のようになる。

  系 ($N$) 近似解 収束性 初期値
Oleinik [10] (1957) 1 L-F 差分 (*1) Helly (*3) large data
    粘性近似 (*2)    
Glimm [11](1965) $N$ Glimm 差分 Helly small data (*4)
西田 [12] (1968) 2 (*5) Glimm 差分 Helly large data
Tartar [13] (1979) 1 粘性近似 補完測度法 large data
DiPerna [14],[15] (1983) 2 (*6) L-F 差分 補完測度法 large data
    粘性近似    
DiPerna [16] (1976) 2 (*7) 波面追跡法 Helly small data
Bressan [17] (1992) $N$ 波面追跡法 Helly small data

(*1).
Lax-Friedrichs 差分近似解: $D_t U + D_x F(U) = 0$ $(\Delta t,\Delta x\rightarrow 0)$

\begin{displaymath}
\begin{array}{l}
\displaystyle \hspace{1zw}D_t U = \frac{U...
...F(U(x+\Delta x,t))-F(U(x-\Delta x,t))}{2\Delta x}
\end{array} \end{displaymath}

(*2).
粘性近似: $U_t + F(U)_x = \varepsilon U_{xx}$ $(\varepsilon \rightarrow 0)$
(*3).
Helly: Helly の選出定理
$[a,b]$ 上一様有界で一様有界変動である関数列 からは、ある有界変動関数に各点収束する部分列を取ることができる」
(*4).
small data: 一般には初期値の全変動が十分小さい、すなわち初期値が定数に十分近い、 という条件が必要
(*5).
2: 等温気体 (Lagrange 座標系) の方程式

\begin{displaymath}
v_t - u_x = 0,  u_t + (a/v)_x = 0
\hspace{1zw}(\mbox{$u$: 速度、$v$ = 1/密度, $a>0$: 定数})
\end{displaymath}

(*6).
2: 弾性体の方程式 ([14])

\begin{displaymath}
v_t - u_x = 0,  u_t - \sigma(v)_x = 0
\hspace{1zw}(\sigma'(v)>0, v\sigma''(v)\geq 0)
\end{displaymath}

及び、等エントロピー気体 (Euler 座標系) の方程式 ([15])

\begin{displaymath}
\begin{array}{l}
\rho_t + (\rho u)_x = 0,  (\rho u)_t + ...
...�}\\
\mbox{ $N=1,2,3,\ldots$, $a>0$: 定数})
\end{array} \end{displaymath}

(*7).
2: 一般の真性非線形な 2$\times$2 の双曲型保存則系

これらの結果は改良されている部分もあるし、また近似解として 動力学的近似を用いる Lions,Perthame,Tadmor,Sourganidis らの方法もあるが、 詳細は省略する ([19,20] 参照)。

いくつかの方法の中で補完測度法の一番の特徴は、 大きい初期値に対して解の存在を示せることであろう。 最近 Bressan らによる小さい初期値に対する適切性 (存在、一意性、連続依存性) の研究が強力に進められているが、 大きい初期値に対する結果は補完測度法によるもの以外は、 今のところ特別な方程式 (*5) に対するものしかない。

なお、Helly の定理を用いる場合と、補完測度法を用いる場合に使われる 近似解の評価は異なっていて、それらは以下の通りである。


next up previous
Next: 4 単独保存則方程式 Up: compensated compactness と保存則方程式について Previous: 2 1 次元保存則方程式
Shigeharu TAKENO
2001年 12月 17日