4 不変領域
Riemann 不変量 , に対して、後で「不変領域」として使用する
次のような領域を考える。
(
14)
なお、本稿ではこの , は、
ある に対して , であるもののみを考える。
であれば任意の , () に
対してそのような が常にみつかるが、
の場合はそうとは限らないことに注意せよ (本稿では、 に関する条件として
は仮定していない)。
領域
に が入る条件は、, で考えると
という不等式となり、これは
と書ける。
() なので、
この不等式は
の範囲のみで意味を持ち、
よって (14) は
(
15)
と書くこともできる。
この領域は、, , の座標軸では、それぞれ
図 13 のように
なる (厳密な図ではなく、おおよその図)。
これらの図からもわかるが、
, 座標系での 、すなわち 上の線分は、
本来の である 座標系では原点 1 点に対応することに
注意する。
今、この領域
での固有値の絶対値の上限を、
と書くことにする:
(
16)
(15) より、
での
の最大値は、
の
での最大値に等しく、
よって
は
(
17)
となることがわかる。例えば
, (等エントロピー) の場合は、
なので、 ならば
より
となり、よって
(
18)
に等しい。また、 ならば より
なので、
(
19)
となる。しかし、一般には は単調とは限らず、
よって、(17) は (18), (19) のような易しい式
になるとは限らない。
最後に、6 節で利用する以下の性質を示しておく。
命題 1
は、 の座標系では凸図形、すなわち、
(
20)
で、 は下に凸、 は上に凸。
証明
は なので、
となり、その導関数は
となる。よって、(6) により
だから
この曲線は上に凸となる。
も なので、
だから、上と同様にして下に凸であることがわかる。
竹野茂治@新潟工科大学
2020-02-28