3 LF 差分

1 次元双曲型保存則方程式に対する差分近似として有名なものに、 Lax-Friedrichs 型差分 (以後 LF 差分と呼ぶ) がある:
  $\displaystyle
U^{n+1}_j
= \frac{1}{2}(U^n_{j-1}+U^n_{j+1})
-\frac{1}{2\mu}\{F(U^n_{j+1})-F(U^n_{j-1})\}$ (10)
ここで $n=0,1,2,\ldots$ で、 $j$ は通常 $n+j$ が奇数のもののみを考える。 また、$U^n_j$ は (3) の解 $U(t,x)$ $(t,x)=(n\Delta t,\ j\Delta x)$ での値を近似するもの ( $U^\Delta(n\Delta t,j\Delta x)$) であり、 よって (10) は、微分方程式 (3) を

\begin{eqnarray*}\lefteqn{\frac{\displaystyle U^\Delta(t+\Delta t,\ x)
-\frac{U...
...elta(t,x+\Delta x))
- F(U^\Delta(t,x-\Delta x))}{2\Delta x} = 0\end{eqnarray*}

のように差分化したものと見ることができる ( $\mu=\Delta x/\Delta t$)。

以後、(10) の右辺の式を、 $LF(U^n_{j-1}, U^n_{j+1})$, あるいは $LF(U^n_{j-1}, U^n_{j+1}; \mu)$ と 書くこととする:

  $\displaystyle
LF(U_L, U_R) = LF(U_L, U_R; \mu)
= \frac{1}{2}(U_L+U_R)
-\frac{1}{2\mu}\{F(U_R)-F(U_L)\}$ (11)

LF 差分の $\mu$ には、安定性のため通常 CFL 条件 (Courant-Friedrichs-Lewy 条件):

  $\displaystyle
\mu > \max\{\vert\lambda_j(U)\vert;\ U=U_L,U_R,\ j=1,2\}
\hspace{1zw}(= \Lambda_1(U_L,U_R))$ (12)
を課す。 ここで、 $\vert a\vert=\max\{-a, a\}$ なので、

\begin{eqnarray*}\max\{\vert\lambda_1(U)\vert,\vert\lambda_2(U)\vert\}
&=&
\ma...
...2\}
\\ &=&
\max\{-u+C(\rho),u+C(\rho)\}
= \vert u\vert+C(\rho)\end{eqnarray*}

であり、よって $\Lambda_1(U_L,U_R)$ は、
  $\displaystyle
\Lambda_1(U_L,U_R) = \max\{\vert u_L\vert+C(\rho_L),\vert u_R\vert+C(\rho_R)\}$ (13)
と書ける。 $\bar{U}=LF(U_L,U_R;\mu)$$\bar{\rho}$ は、

\begin{eqnarray*}\bar{\rho}
&=&
\frac{\rho_L+\rho_R}{2} - \frac{\rho_R u_R - ...
...D_L^{\pm} = 1\pm u_L/\mu, \hspace{0.5zw}D_R^{\pm} = 1\pm u_R/\mu)\end{eqnarray*}

と変形できるが、CFL 条件 (12) の もとでは、(13) より $D_L^+>0$, $D_R^->0$ となるので、 これにより $\rho_L$, $\rho_R$ の両方が 0 でない限り $\bar{\rho}>0$ となることが保証される。

竹野茂治@新潟工科大学
2020-02-28