3 tan x の微分

同様の考え方で、$\tan x$ の導関数も考えることができる (図 5)。
図 5: $\tan x$ の微分
\includegraphics[height=70mm]{data/tan}
この場合、D の $y$ 座標が $\tan\theta$, F の $y$ 座標が $\tan(\theta+\Delta\theta)$ なので、 $z=\tan\theta$ の増分は、
\begin{displaymath}
\Delta z = \tan(\theta+\Delta\theta)-\tan\theta = \mathrm{DF}
\end{displaymath}

となる。 一方、扇形 OBC と ODE は相似で、OB:OD=$\cos \theta $:1 より、
\begin{displaymath}
\mbox{弧} \mathrm{DE} = \frac{\mbox{弧} \mathrm{BC}}{\cos\theta}
= \frac{\Delta\theta}{\cos\theta}
\end{displaymath}

であり、$\Delta \theta $ が 0 に近ければ、 $\angle$ODE と $\angle$OED は直角に近く、 DEF も $\angle$E が直角の直角三角形で近似できる。 この場合、$\angle$EDF もほぼ $\theta$ に近いので、よって
\begin{displaymath}
\mathrm{FD}\cos\theta \approx \mathrm{DE} \approx
\frac{\De...
...pace{1zw}
\mathrm{FD}\approx \frac{\Delta\theta}{\cos^2\theta}
\end{displaymath}

が得られる。ゆえに
\begin{displaymath}
\frac{\Delta z}{\Delta\theta} \approx \frac{1}{\cos^2\theta}
\end{displaymath}

となり、その極限として $(\tan\theta)' = 1/\cos^2\theta$ が 得られることになる。

竹野茂治@新潟工科大学
2014年7月2日