5 定理の条件を満たす関数
この節では、定理 1 を満たす関数について考える。
実はそのような関数は、有理関数に限られることが証明できる。
定理 2
が、有限個の極
以外では正則な関数で、
有界性条件 (1) と減衰条件 (2) を
満たすとすると、
それは分子の次数が分母の次数より小さい有理関数となる。
これはローラン展開とリューヴィルの定理から導かれる。
その概略を以下に示す。
を でローラン展開すると
のようになるが、この負巾の項の和を とする:
すると、 は の周りで正則になり、
また は 以外では正則な関数であるから、
とすると、この はすべての 周りで正則、
つまり全平面で正則な関数となり、
有界性条件 (1) から は全平面で有界であることが言え、
また減衰条件 (2) から
であることがわかる。
よってリューヴィルの定理から は定数で、
その値は 0 となる。それは
ゆえに
を意味し、この右辺を通分すれば、
分子の次数が分母の次数より小さい有理関数となる。
竹野茂治@新潟工科大学
2023-07-20