7 t の k 乗の指数関数倍の計算

次に、3 節の指数関数倍の公式を用いる方法で考えてみる。 ここでは、その節の後半で述べたように、 三角関数を複素指数で表わすのではなく、 複素指数の実数部分と虚数部分で考えてみる。

$\displaystyle \mathcal {L}$[tkeit] = $\displaystyle \mathcal {L}$[tkcos t] + i$\displaystyle \mathcal {L}$[tksin t] = Gk + iFk

であり、

$\displaystyle \mathcal {L}$[tkeit](s) = $\displaystyle \mathcal {L}$[tk](s - i) = $\displaystyle {\frac{{k!}}{{(s-i)^{k+1}}}}$

なので、z の実数部分を $ \Re$z z の虚数部分を $ \Im$z と書くことにすれば、
Fk = $\displaystyle \Im$$\displaystyle {\frac{{k!}}{{(s-i)^{k+1}}}}$ = $\displaystyle \Im$$\displaystyle {\frac{{k!(s+i)^{k+1}}}{{\{(s-i)(s+i)\}^{k+1}}}}$ = $\displaystyle {\frac{{k!\Im(s+i)^{k+1}}}{{(s^2+1)^{k+1}}}}$,  
Gk = $\displaystyle \Re$$\displaystyle {\frac{{k!}}{{(s-i)^{k+1}}}}$ = $\displaystyle {\frac{{k!\Re(s+i)^{k+1}}}{{(s^2+1)^{k+1}}}}$  

となる。 これなら、二項展開のみで計算が済み、 しかも微分の場合のように k = 1, 2,... のように順番に計算しなくても 直接求める k の場合の結果を計算することができる。 例えば F5 であれば、

(s + i)6 = s6 +6s5i - 15s4 -20s3i + 15s2 + 6si - 1

より $ \Im$(s + i)6 = 6s5 -20s3 + 6s となるので、

F5 = $\displaystyle {\frac{{5!}}{{(s^2+1)^6}}}$(6s5 -20s3 +6s) = $\displaystyle {\frac{{240s(3s^4-10s^2+3)}}{{(s^2+1)^6}}}$

のようになる。

竹野茂治@新潟工科大学
2008年3月18日