B Helly の選出定理
この節では、Helly の選出定理 6.1 の証明を行う。
まず、系 A.2, A.5 より、
となる。
の仮定より、
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(B.144) |
なので、
まず一様有界な単調増加関数列 に対して収束性を示し、
それを
,
に適用することで
に対して示す、という方針で証明する。
まず、 は
を満たし、かつ単調増加であるとする。
今、有理数全体を とすると
は有界列だから
その部分列を取ってある実数に収束させることができる。
よって、対角線論法を使うことで、
すべての に対し収束するような の部分列
を取ることができる:
今、 を
と定めると、 の単調性より ならば
なので、 は単調増加であり、
かつ
を満たす。
よって、命題 A.4 より の不連続点の集合 は
高々可算な集合である。
今、
とすると、
ならば
であるが、
の場合も
となることを示そう。
に対し、
であるから、
とすれば
となるが、
は稠密なので , を に収束するように取ると、
は で連続だから , は に収束し、
となり、よって確かに
となる。
つまり、
ならば
となるが、
は高々可算集合で は一様有界なので、
の部分列
を取ることで
上でも を収束させることができる。
よってその極限を
とすれば、
すべての に対して は に収束することになる。
これで に対する収束性が示された。
この議論と (B.3) により、
自然数列のある部分列 を取って、
関数列
,
と数列
を
すべての に対し各点収束させることができる。
その極限を、
とすると、(B.2) より、
となる。よってこの右辺を
とすると
であり、
定理 6.1 の仮定より
なので、
が従う。最後に の全変動であるが、
これは (B.3) より
であり、かつ , は単調なので、
となる。これで定理 6.1 が示されたことになる。
竹野茂治@新潟工科大学
2009年1月18日