6.2 (t,x) に対する極限

(6.4) と Lebesgue 有界収束定理を用いれば、 任意の正数 $T$, $M$ に対して、
\begin{displaymath}
\lim_{n,m\rightarrow\infty}
\int_0^T\int_{\vert x\vert\leq M}\vert U^{\Delta_n(n)}(t,x)-U^{\Delta_m(m)}(t,x)\vert dxdt
=0
\end{displaymath}

も言えるので、 ある $V(t,x)\in L^1_{loc}((0,\infty)\times R)$ が存在して、 任意の正数 $T$, $M$ に対して、
\begin{displaymath}
U^{\Delta_n(n)}\rightarrow V\hspace{1zw}\mbox{in $L^1((0,T)\times (-M,M))$}
\end{displaymath}

が言える。 よって、(必要ならば対角線論法を用いて) $\{\Delta x_n(n)\}_n$ のある部分列 $\{\Delta x''_n\}_n$ を取って、
\begin{displaymath}
U^{\Delta''_n}\rightarrow V\hspace{1zw}\mbox{a.e. in $(0,\infty)\times R$}\end{displaymath} (6.93)

とできるので、(6.5), (6.6), (6.7) より、 $(0,\infty)$ のある 0 集合 $D$ に対して、$t\not\in D$ ならば
\begin{displaymath}
V(t,x)=p_t(x)=q_t(x)\hspace{1zw}\mbox{a.e. $x$ in $R$}
\end{displaymath}

となることが言える。よって $U(t,x)$ を、
\begin{displaymath}
U(t,x)=\left\{\begin{array}{ll}
V(t,x) & (t\not\in D),\\
p_t(x) & (t\in D)\end{array}\right.\end{displaymath}

と定義すれば、$U$ は 0 集合 $D\times R$ 以外では $V$ に等しいから $U$$(t,x)$ に関する可測関数であり、 すべての $t$ に対し、
\begin{displaymath}
U(t,x)=p_t(x)=q_t(x)\hspace{1zw}\mbox{a.e. $x$ in $R$}\end{displaymath} (6.94)

を満たすことになる。さらにこの $U(t,x)$ は、 定理 5.2 と Helly の定理 6.1 により、 次も満たすことになる:
    $\displaystyle \mathop{\mathrm{TV}}\nolimits _R U(t,\cdot)\leq 2C_1\mathop{\mathrm{TV}}\nolimits _R U_0
\hspace{1zw}(t>0),$ (6.95)
    $\displaystyle \Vert U(t,\cdot)-\bar{U}\Vert _{L^\infty(R)}\leq \hat{\delta}_3
\hspace{1zw}(t>0),$ (6.96)
    $\displaystyle \int_R\vert U(t,x)-U(s,x)\vert dx
\leq C_2\Lambda\vert t-s\vert\mathop{\mathrm{TV}}\nolimits _R U_0
\hspace{1zw}(t,s>0)$ (6.97)

ただし、この (6.9) のように $U(t,\cdot)$ を有界変動関数と見るときは、 ここでは (6.8) により $U(t,\cdot)$ の代わりに $p_t(\cdot)$ を考えることを意味するものとする3

Helly の定理 6.1、および $p_t(x)$ の定義により、

\begin{displaymath}
\mathop{\mathrm{TV}}\nolimits _R p_t\leq 2C_1\mathop{\mathrm...
... U_0,\hspace{1zw}
\vert p_t(x)-\bar{U}\vert\leq \hat{\delta}_3
\end{displaymath}

であるから、(6.8) により (6.9), (6.10) が得られるので、 最後に (6.11) を示す。

(5.30) より、任意の $M$ に対して

\begin{displaymath}
\int_{-M}^M\vert U^{\Delta_n(n)}(t,x)-U^{\Delta_n(n)}(s,x)\v...
... t-s\vert+2\Delta x_n(n))\mathop{\mathrm{TV}}\nolimits _R U_0
\end{displaymath}

であり $n\rightarrow\infty$ とすれば、(6.4) より
\begin{displaymath}
\int_{-M}^M\vert q_t(x)-q_s(x)\vert dx\leq C_2\Lambda\vert t-s\vert\mathop{\mathrm{TV}}\nolimits _R U_0
\end{displaymath}

となり、よって (6.8) により
\begin{displaymath}
\int_{-M}^M\vert U(t,x)-U(s,x)\vert dx\leq C_2\Lambda\vert t-s\vert\mathop{\mathrm{TV}}\nolimits _R U_0
\end{displaymath}

となる。 $M$ は任意なので、よって (6.11) が得られる。

以上をまとめると、以下のようになる。


定理 6.2

$U_0$ に関する定理 5.1 の仮定の下、 0 に収束するある列 $\{\Delta x''_n\}_n$ に対して、 これに対する近似解 $U^{\Delta''_n}$ はほとんどいたるところ ある関数 $U(t,x)\in L^1((0,\infty)\times R)$ に収束し、 この $U(t,x)$ は (6.9), (6.10), (6.11) を満たす。


ただし、 $L^1((0,\infty)\times R)$ の元 $U(t,x)$$t$ での値 $U(t,\cdot)$ というのは、 本来はほとんどいたるところの $t$ にしか意味はないが、 この定理での $U$ の値に関する性質に関しては、 上に述べてきたように、 すべての $t$ (および $s$) に対してこれらの性質 (6.9), (6.10), (6.11) が意味を持つような $L^1((0,\infty)\times R)$ の代表元を取ることができる、 といったような意味合いであることに注意する。

竹野茂治@新潟工科大学
2009年1月18日