6.3 速度変更の制限

次は、考察を易しくするために、変更する速度に制限をつけることを考える。

まず、最初に述べたように、 速度の変更は定義 7.1 (p125) の範囲内で行う必要がある。 また、当然すべての物理 front の速度は 非物理 front の速度 $\hat{\lambda}$ より遅くなくてはならない。

必要ならば $U_0$ を少し小さくして、すべての $u\in U_0$ に対して、

  $\displaystyle
\lambda_{i,m}<\lambda_i(u)<\lambda_{i,M}\hspace{0.5zw}(1\leq i\l...
...mbda_{i+1,m}\hspace{0.5zw}(1\leq i<n),
\hspace{1zw}\lambda_{n,M}<\hat{\lambda}$ (101)
となるような定数 $\lambda_{i,m}$, $\lambda_{i,M}$ が取れるようにできる。 このようにしておくと、特性族間の特性速度の大小がはっきりするが、 $i$-特性族の front の速度変更は、 この $(\lambda_{i,m},\lambda_{i,M})$ の範囲で行うようにすれば、 特性族の順を越えた問題は起きなくなるので、 速度変更の考察は少し易しくなる。

なお、[1] は条件 (101) を 課しているわけではないが、本稿では一応これを仮定する。

さらに、

  $\displaystyle
\Lambda=\max\{\vert\lambda_{1,m}\vert, \vert\hat{\lambda}\vert\}$ (102)
とすれば、すべての front の速度の絶対値は $\Lambda$ 以下となる。

竹野茂治@新潟工科大学
2020-06-03