3.8 $Q$ の評価: [S-2] の場合

次は [S-2] の場合を考える (p131 Figure 7.8)。

3.6 節で述べたように、 接触不連続 front 同士はぶつからないとしているので、この場合は真性非線形で、 よって $\sigma'_i=\sigma'_j$$\sigma''_j$ の少なくとも一方は 衝撃 front であり、 $\sigma_k$ は、 $\bar{\sigma}_j=\sigma'_j+\sigma''_j$$\sigma_{np}$ となる。 これも $\sigma'_j$, $\sigma''_j$, $\bar{\sigma}_j$ の符号で場合分けすれば、 3.6 節の 1. から 6. までのうち 2. を 除く 5 通りとなる。1. の場合は、

$\displaystyle Sw(\bar{\sigma}_j)
= Sw(\sigma'_j)-\vert\sigma''_j\vert
= Sw(\sigma''_j)-\vert\sigma'_j\vert
$

より、

\begin{eqnarray*}I_j
&=&
\vert\bar{\sigma}_j\vert Sw(\bar{\sigma}_j)
-\vert\s...
...a'_j-\sigma''_j+\sigma'_j+\sigma''_j)Sw(\bar{\sigma}_j)
 =\
0\end{eqnarray*}

となって、よって、

\begin{eqnarray*}Q(\tau+)-Q(\tau-)
&=&
I_j + \vert\sigma_{np}\vert Sw(\sigma_{...
...\vert\sigma'_j\sigma''_j\vert+\vert u_r-\tilde{u}_r\vert V(\tau-)\end{eqnarray*}

となるので、Lemma 7.2 (iii) より (7.56') が得られる。

同様に、4. で $\bar{\sigma}_j\neq 0$ の場合は

$\displaystyle Sw(\bar{\sigma}_j)
= Sw(\sigma''_j)-\vert\sigma'_j\vert
\leq Sw(\sigma'_j)-\vert\sigma''_j\vert
$

6. で $\bar{\sigma}_j\neq 0$ の場合は

$\displaystyle Sw(\bar{\sigma}_j)
= Sw(\sigma'_j)-\vert\sigma''_j\vert
\leq Sw(\sigma''_j)-\vert\sigma'_j\vert
$

なので、どちらも

$\displaystyle I_j
\leq
(\vert\bar{\sigma}_j\vert-\vert\sigma'_j\vert-\vert\sig...
..._j)
\leq
\vert\bar{\sigma}_j-\sigma'_j-\sigma''_j\vert Sw(\bar{\sigma}_j)
=
0
$

となり、また $\bar{\sigma}_j=0$ の場合も当然 $I_j\leq 0$ となるので、 いずれの場合も 1. の場合と同様にして (7.56') が得られる。

3. の場合は

$\displaystyle Sw(\bar{\sigma}_j)
= Sw(\sigma'_j)-\vert\sigma''_j\vert
\geq Sw(\sigma''_j)-\vert\sigma'_j\vert
$

となるが、符号を考えれば

\begin{eqnarray*}I_j
&=&
(\vert\bar{\sigma}_j\vert-\vert\sigma'_j\vert)S(\ba...
...bar{\sigma}_j)+Sw(\sigma''_j)-\vert\sigma'_j\vert)
\ &\leq &
0\end{eqnarray*}

となるので (7.56') は成立する。

5. の場合も 3. の $\sigma'_j$$\sigma''_j$ を入れかえるだけなので、 (7.56') が成り立つことがわかる。

竹野茂治@新潟工科大学
2020-06-03