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(PDF ��������: pdetutor.pdf)
前節で述べた方法は、偏微分をそれぞれ縦横の方向に差分化して考える
方法であるが、方程式 (35) の左辺を、特性
曲線の方向に斜めに考える方法もある。ここではそれを考えてみる。
2 節で見たように、
であったが、この式の差分化を行えば
すなわち、
を
とすれば
が成り立つことがわかる。これを用いると方程式
(35) は
すなわち
となるので、
,
とし、
とすれば
と計算できることになる。
これをさらに発展させて、波動方程式の初期値問題
 |
(39) |
の差分近似を考えてみる (
)。
1 節で見たように
であり、よって
とおけば
となるので、方程式は
となる。これは
に関する移流方程式なので、これを特性方向に
差分化すると
 |
(40) |
となる。一方、
も、
に関する移流方程式とみれば、
特性速度が
から
に変わっているだけなので、
 |
(41) |
と差分化でき、よって、この式で
を
、
を
とすれば
 |
(42) |
という式も得られる。簡単のため
とすると
(41),(42) の左辺は
それぞれ
なので、
(41), (42) を
式 (40) に代入すると
となる。これにより、波動方程式 (39) は
すなわち、
として、
とすれば
と近似計算できることになる。
この式による計算は
、すなわち
に対する
の
近似値を求めることから始まるので 、
,
の値は別に求める必要があるが、
これらは初期値より計算でき、
は
から、また、
は
と考えれば
により求められる。
波動方程式 (39) の数値計算には、ほかにも、縦
横の差分を用いる方法
もありこれもよく使われる。この差分は 2 階微分
が
と書けることに基づいている。
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Shigeharu TAKENO
2001年 9月 21日