Next: 9 数値計算結果
Up: 斜円錐の側面積について
Previous: 7 この積分の計算可能性
(PDF ファイル: yokoyama1.pdf)
8 根号内が完全平方になる場合
7 節で述べたように、
一般には (17) を簡単な式で表すことはできないが、
根号の中が完全平方式である場合は簡単に計算できる式になる。
この節では、まずその条件を考えてみることにする。
式 (17) の完全平方性を考える場合、以下の 2 つの考え方がある。
- (17) の根号の内部が直接
になる場合
- (17) を
と置換したときの
根号内の の 4 次式が
になる場合
しかし容易に分かるようにこの両者は同等である
(一方が成り立てば他方も成り立つ) ので、
どちらか一方のみを考えれば良い。
いずれにしても恒等式を考えるわけだが、前者は関数
の一次独立性を、後者は
の一次独立性を用いて両辺の係数比較を行なうことになる。
今回は前者の三角関数を使った計算で考えることにする。
まず、
と置いて両辺を展開して整理する。倍角の公式を用いると
となるので、係数比較して次の式を得る。
, , , , として、
これらの式が成り立つ (つまり完全平方になる) ために
が満たす条件を求め、そのときの を求めることが目標である。
まず、(21) より、 として構わないことに注意する。
の場合は をすべて 倍すれば同じことになる。
(23)(24)(26)
より
となるので、もし ならば、(26) より
なので、この式を (26) の 2 乗で割ると ,
よって より を得る。よって なので、
(23), (24) より
となる。しかし、これらを (22) に代入すると、
となるが、これは , , に矛盾する。
よって、 のときは完全平方にはなりえないことが分かる。
今度は とすると、(24), (26) より
, なので、もし ならば となり、
(23) より となる。ところがこの場合も
(22)(25) を考えると、
となり、これも , , に矛盾するので、
でなければならない。
, を (22), (25) に代入すると
より、
|
(27) |
となる。この と を (23) の 2 乗に代入したものが
完全平方のための条件となる。代入して展開、整理すると
となる。
この最後の式は と合わせて、4 節で求めた、
この図形が直円錐の一部となる条件 (16) ()
に等しい。
としたときも同様に のときの直円錐の一部になる条件が
得られる。
さて、このとき
は (27) より
() であり、
は (23) と (28) より、
, のときは (, のときは単なる直円錐になる)、
となるので、(21) の右辺のカッコの中は
|
(29) |
となる。ここで、
,
なので、
となり、(29) は正の値となる。
結局この場合は、公式 (17) は
となるので、これを計算すれば
となる。
この最後の式は、通常の直円錐の場合の公式 (1) に
よく似た式となっているが、
つまり直円錐の一部の場合には綺麗な性質が成り立つ、ということを意味する。
以上をまとめると、4 節で考察したように、
この図形が直円錐の一部になる場合には、
となることになる。
この、直円錐の一部になる場合以外にも
が楕円積分にならない場合があるかも知れないが、
それは今のところは不明である。
Next: 9 数値計算結果
Up: 斜円錐の側面積について
Previous: 7 この積分の計算可能性
Shigeharu TAKENO
2005年 2月 28日