(10) と (11) は、一方を示せば、 他方はその の代わりに を代入すれば得られるので、 まずは積和の計算が楽そうな (11) の方を考える。 すなわち、
(1 項)、 (5 項)、 (10 項)、の形の項が現れるが、 の項は、
(10 項)、 (10 項)、 (1 項)
なお、 の形の項は の形の項と全く 同じ和になり、, も同様である。
しかし、すべての に対してこうはならず、 によっては、 の項が、 に対して均等に現れない場合もあることがわかった。 例えば でそうなるが、, ( ) の ときは、項数は全部で 個あり、 に対するものが 9 個ずつ、 に対するものは 10 個ずつあって に関して同数にはならない。 ただし、それによって確かにその和は
しかし上の例から、このような不均衡は が合成数のために 起きていることが予想されたので、 次に考えたのは、まず奇素数の に対して、 (16) を用いて (11) を 証明することである。 この場合は の場合などとは違い、 の項が に対して均等に現れることを 示すことができるので (が、あまり易しくはない)、 が奇素数の場合は確かに (11) が成り立つことを 示すことができる。 しかもこの場合は が奇数なので右辺は一つの のみになる:
次に一般の の場合は、 が奇素数 を因数に持てば、 を
よってあとは の場合であるが、 この場合は、 まず に対して (10) が成り立つことを示し、 そこから に対して (11) が成り立つことを示して、 それを用いればよい。
今、(10) の左辺を とすると、 に対して を 毎に 4 つに分けて考えると、 倍角の公式により、
あとは、奇素数に対して (11) が成り立つこと、 すなわち積を和の形に直したときに、 の項が に対して均等に現れることを 示すことであるが、 が素数であることを使えば一応それを示すことは可能ではあるが、 議論がかなり煩雑になる (ので、ここでは紹介しない)。
それに、ここまでの流れもかなり大変で、 この方向、すなわち , だけを使い、 積和の公式などを用いて示す方法はかなり難しいことがわかる (が、単に私が易しい方法を思いつかないだけかもしれない)。
竹野茂治@新潟工科大学