(10)、および (19) より、
の回転体である
球面の の範囲の帯状領域の面積 は、
なお、ここから、球の表面積は、その球と同じ半径で同じ高さの円筒の 面積 と等しくなることもわかる。
この球からこの円筒、すなわち球に外接する同じ高さの円筒への、
中心軸から水平方向の射影
6 節で、 は の範囲の中心になっていたが、 これも、球面から円筒への射影が面積を変えないことからいえる。 つまり、この面積の不変性が、 図 2 の帯同士の重心の不変性も導き、 円筒上の帯の重心は当然 の範囲の中心になるからである。
ついでに、(31) のように、
曲線 の 軸に関する回転面 の、
横幅 に対する帯状部分の面積が、
場所によらずに の定数倍になるための条件を考えてみよう。
であるとすると、
それに対する曲線 上の部分の長さ は、
であり、
よって、その帯状部分の面積 は、
条件 (32) を図形的に解釈すると、
はグラフの接線の傾きで、
その仰角を とすると (
)、
なので、
微分方程式 (33) を解いてみればわかるが、 それは 軸上に中心があり、半径 の円周のみと なる ( )。 そのような円周の場合は、曲線上の点の法線は、 軸上の中心で 軸と交わるので、 その距離は確かに常に半径 に一致し一定となる。 逆にそうなる曲線はそのような円のみだということになる。
なお、ついでに言えば、(33) を少し発展させ、
法線方向の 軸までの長さが
与えられた関数 になるような微分方程式
ここまでは、球面から円筒への射影の等積性を見てきたが、 良く知られているように、 球の体積にも円柱に関係する簡単な等積図形がある。 (b) で考察したような 軸のある範囲、 地球で言えばある緯度からある緯度までの球の体積は、 図 4 のような三角形 を 軸の まわりに回転させた図形、 すなわち球と同じ半径、同じ幅の円柱 (図 2 右) から、 半径 高さ の円錐を 2 つ取り除いた図形の 同じ幅の体積に一致する。
それは、 軸に垂直な面での両者の立体図形の断面積を比べればわかるが、
球の方の での断面積は
これにより、球面の場合と同様に、球のある 幅の重心は、 の回転体の同じ幅の重心に一致するので、 そちらで置き換えて求めることもできる。 試しに、 をその考え方で計算してみよう。
まず、
とし、
の範囲での の
回転体の重心の 座標 を考える。
これを、同じ範囲での半径 、高さ の円柱から、
半径 、高さ の円錐を取り除いたものと考え、
円柱の重心の 座標 と
円錐の重心の 座標 で表せば、
一方、半球に対応する の範囲での の
回転体は、
が 1 の場合に対応するので、
その重心の 座標 は
竹野茂治@新潟工科大学