まず、 の 3 頂点が同じ質量を持つ質点系の点としての重心 は、(3) より
(15)
次に、一様な面密度の の面としての重心 を、 3 節の分割・統合の原理を用いて考えてみる。
まず、 を辺 BC に平行な線で細かく分割する (図 1)。
すると、それぞれの細長い部分の重心は、ほぼその中心に来るから、 それらはすべて、A から BC の中点 M への中線 AM 上にほぼ乗ることになる。この分割をさらに細かくしていけば、 それぞれの重心はより中線 AM に近づいて行くので、その極限を考えれば、 の重心 はその中線 AM に、 A から M に向かって比例して大きくなる線密度を与えた、 線としての重心に等しくなり、 よって は少なくともこの中線 AM 上にあることがわかる。
この考察を、辺 BC の代わりに辺 AC に対して行えば、 重心 は B から AC の中点 N への中線 BN 上にあることになるので、 よって中線 AM と BN の交点 が面としての重心 に一致することになる。
しかし、これは三角形にたまたま成り立つ性質だろうと思われる。 それは、例えば一様な面密度の四角形には、このような性質は成り立たないし、 周囲が針金である線としての の重心 は、 点としての重心 ( ) には一致しないからである。 これらを以下に説明しよう。
まずは四角形の方であるが、 一様な面密度の四角形 ABCD の重心を とし、 各頂点が同じ質量を持つ質点系としての重心を とすると、 は (3) により
(16)
また、針金で作った
の線としての重心
であるが、
これは各辺に分割して考えれば、各辺の重心はその中点であり、
それぞれの辺の質量は辺の長さに比例するので、
命題 1 により
の位置ベクトルは
竹野茂治@新潟工科大学