6 展開式への変形
5 節では、
最初にいくつかの
を
の式として展開したが、
考察は
,
の式のままでの計算を行った。
この節では、その
の式としての展開式の計算を行ってみることにする。
5 節では、
まで計算したが、
実際には (14) より偶数次の方のみを考えればよい。
の展開を (15) により行ってみると、

のようになる。5 節の
,
とこの
を見ると、
はいずれも、
で始まり、
の 2 次から
次までの項がすべて消えている。
これが一般に言えるかどうかを考えてみよう。
(15) に
を代入して
二項定理 (5) で展開すると、
となる。この前半の和に対して
とすると、その和は

となるので、
が
では正、
では負、
では 0 となることを考えると、
(23) は結局
と書けることがわかる。この式で
とし、和の順序交換を行えば、
となる。この内側の和を
とおく:
 |
(25) |
まず、
の場合を考えると、それはこの節最初の例による考察から、
 |
(26) |
であることが予想される。
の場合は、
であるが、今、
の
階微分を考えると
より
と見ることができるので、
 |
(27) |
とすると
となることがわかる (
次以下の項の
階微分は 0 となる)。
一方で、
は、

であるから、
であれば
の
階微分には必ず
がすべての項に残るので、
となることがわかる。
のときは、
のときは、
となって、(26) が確かに言えたことになる。
次に、
の場合を考える。この場合は、
であるから、

となり、この最後の項は
の場合と同様に 0 となるから結局
となる。これと (26) を (24) に代入すれば
|  |
| |
|
 |
(28) |
となる。この式の二重和の順序を入れかえると、その和の部分は

となり、結局、
 |
(29) |
のように書けることになる。
例えば、
は、この式を使えば、

となり、この節の最初の計算よりだいぶ楽であることがわかる。
竹野茂治@新潟工科大学
2009年7月27日