この考え方は、
「曲線の曲がり具合を円に当ててはめたいのであるから、 実際にその部分に一番近い円をみつける」というものである。
曲線 に対し、 1 階微分 の値は での傾きを表すもので、 曲がり具合とは直接は関係はない。 一方、 の値は、 、 すなわちその曲線の傾きの での変化率であり、 これはある意味で曲がり具合を表している。 通常、初等的な解析では 2 階微分 の値は、 この値が正か負かで上に凸か下に凸かの判別を行う位にしか利用しないが、 この値の絶対値が大きい場合は傾きが急激に変化することを意味しているので、 曲がり具合が急であることになり、 逆に絶対値が小さい場合は緩やかであることになる。
ただし、この の値は A 節で見るように回転不変ではなく、 グラフ全体を形を変えずにそのまま回転すると変化してしまう値なので、 その値を曲がり具合を表す定量的な尺度として 直接使うことはできないことに注意する1。
以上の考え方により、曲がり具合を表すような円として、 に で接し、 かつそこでの 2 階微分の値も一致するようなものを求めることにする。
今、求める円の中心を 、半径を とすると、 その円の方程式は、
(1)
(2)
(3)
まず が で と接する、
すなわち を通って、傾きが に一致する必要があるので、
, であるから (1), (3) より
次は 2 階微分であるが、 (2) を 2 で割って で微分すれば、 積の微分法により、
(6)
(7)
(8)
(9)
(10)
なお、この曲率半径の逆数の絶対値を外したもの
(11)
曲率が正の場合は であるから下に凸で、 曲率中心は曲線の上の方にあり、 の増加方向に曲線に沿って考えれば曲線は左に曲がっていることになる。 逆に曲率が負の場合は で上に凸で、曲率中心は曲線の下、 曲線は の増加方向に右に曲がることになる。
なお、曲率が 0 のときは曲率半径は無限大となってしまうが、 数学ではそれを避けるため、 そして上に述べたように符号により曲がる方向を知ることもできるために、 曲率半径よりも曲率を主に考えることが多いようである。
竹野茂治@新潟工科大学