6 5 次、6 次の計算方法

最後に、4 節、5 節で得られた結果を用いて、 5 次, 6 次の行列式の計算方法を紹介する。

まずは 5 次を考えると、5 は 4 で割って 1 余るので、 一つの面に対する斜めの積につける順列の符号はすべて $+1$ となる:

\begin{eqnarray*}I_5(A)
&=&
+a_{1,1}a_{2,2}a_{3,3}a_{4,4}a_{5,5}
+a_{2,1}a_{3...
..._{5,4}a_{1,3}a_{2,2}a_{3,1}
+a_{5,5}a_{1,4}a_{2,3}a_{3,2}a_{4,1}\end{eqnarray*}


一方、
\begin{displaymath}
C_5=\{p(0,i,j,0)=[2,3,4,5]^{(j)}\circ [3,4,5]^{(i)}; 0\leq j<4, 0\leq i<3\}
\end{displaymath}

であるので、$A$$p(0,i,j,0)$ に対応した行の入れ換え、 すなわち、下 3 行を $i$ 回巡回し、その後で下 4 行を $j$ 回巡回したものを $A_{i,j}$ と書くことにすると、
\begin{displaymath}
\mathop{\mathrm{sgn}}\nolimits (p(0,i,j,0))=(-1)^j
\end{displaymath}

なので、
\begin{eqnarray*}\vert A\vert
&=&
\sum_{i=0}^2\sum_{j=0}^3 (-1)^jI_5(A_{i,j})...
..._5(A_{1,2})+I_5(A_{2,2})
-I_5(A_{0,3})-I_5(A_{1,3})-I_5(A_{2,3})\end{eqnarray*}


となる。つまり、下 3 行の巡回では符号は変えずに、 下 4 行の巡回のときに 1 回ずつ符号を変えて加えればよい。

次に 6 次の場合を考える。 6 は 4 で割って 2 余るので、 一つの面に対する斜めの積につける順列の符号は、 左上から右下への対角線の積には $+1$、 右上から左下への対角線の積には $-1$ をつけ、 その下には $+1$$-1$ を交互につける。

\begin{eqnarray*}I_6(A)
&=&
+a_{1,1}a_{2,2}a_{3,3}a_{4,4}
a_{5,5}a_{6,6}
-a_...
...3}
a_{3,2}a_{4,1}
+a_{6,6}a_{1,5}a_{2,4}a_{3,3}
a_{4,2}a_{5,1}\end{eqnarray*}


一方、
\begin{displaymath}
p(0,i,j,k,0)=[2,3,4,5,6]^{(k)}\circ [3,4,5,6]^{(j)}\circ [4,5,6]^{(i)}
\end{displaymath}

に対応して行を巡回した $A$$A_{i,j,k}$ と書くことにすると、
\begin{displaymath}
\mathop{\mathrm{sgn}}\nolimits (p(0,i,j,k,0))=(-1)^j
\end{displaymath}

なので、
\begin{eqnarray*}\vert A\vert
&=&
\sum_{i=0}^2\sum_{j=0}^3\sum_{k=0}^4 (-1)^j...
...})+I_6(A_{2,2,4})
-I_6(A_{0,3,4})-I_6(A_{1,3,4})-I_6(A_{2,3,4}) \end{eqnarray*}


となる。つまり、下 3 行の巡回、下 5 行の巡回では符号は変えずに、 下 4 行の巡回のときに 1 回ずつ符号を変えて加えればよい。

竹野茂治@新潟工科大学
2008年7月26日