7 最後に

いわゆる「サラス-関の方法」を $n\geq 4$ にも 拡張できることがそれなりに示されたが、 もちろんここにある方法で計算するのはあまり現実的ではないし易しくもない。

ただ、線形代数の教科書によく見られる、

「4 次以上の行列式にはサラス-関のような方法がない」
という記述は、初学者の誤解や間違いを防ぐための、 それなりに適切な標語なのかもしれないが、 本稿で見たように実際には、
「考えられないこともないが、3 次の場合とは違い、 むしろそちらの方が計算量がすごく多くなるし、易しくもない。 よって (通常行われる) 基本変形などによる計算を行うべき」
ということなのだろうと思う。

今後はそんな風に説明してみようかと思っている。

竹野茂治@新潟工科大学
2008年7月26日