2 記法

まず、本稿では、普通の意味でのベクトルは、 すべて列ベクトル (縦並び) の形のものを考えることとする。 すなわち、$N$ 次元数ベクトルは、
  $\displaystyle
\mbox{\boldmath$R$}^N = \left\{\left(\begin{array}{c}{a_1}\\ {a_...
...ots\\ {a_N}
\end{array}\right);\hspace{0.5zw}a_j\in\mbox{\boldmath$R$}\right\}$ (2)
とし、そしてこの元を、$N\times 1$ 行列

$\displaystyle \mbox{\boldmath$a$}=\left[\begin{array}{c}{a_1}\\ {a_2}\\ \vdots\\ {a_N}
\end{array}\right]
$

と同一視することにする。この形のベクトルは、 $\mbox{\boldmath$a$}$ のように 小文字の太字で表す。

それに対して、行ベクトル、 すなわち $1\times N$ 行列 $A=[a_1\ a_2\ \cdots\ a_N]$ は それとは異なるものとし、あくまで行列であると考え、 転置によって通常のベクトルになると考える。すなわち、

$\displaystyle \,{}^T\!{A}=\left[\begin{array}{c}{a_1}\\ {a_2}\\ \vdots\\ {a_N}
\end{array}\right]=\mbox{\boldmath$a$}
$

とする。 よって、$m\times n$ 行列 $A=[a_{ij}]_{m,n}$ は、 各列の列ベクトル ($m$ 次元)

$\displaystyle \mbox{\boldmath$a$}_j = \left[\begin{array}{c}{a_{1j}}\\ {a_{2j}}\\ \vdots\\ {a_{mj}}
\end{array}\right]
$

を用いて、 $A = [\mbox{\boldmath$a$}_1\ \mbox{\boldmath$a$}_2\ \cdots \mbox{\boldmath$a$}_n]$ と表され、 また、各行の行ベクトル $A_i=[a_{i1}\ a_{i2}\ \cdots a_{in}]$ の転置の ベクトル ($n$ 次元)

$\displaystyle \,{}^T\!{A}_i = \mbox{\boldmath$\hat{a}$}_i = \left[\begin{array}{c}{a_{i1}}\\ {a_{i2}}\\ \vdots\\ {a_{in}}
\end{array}\right]
$

によって、

$\displaystyle A = \left[\begin{array}{c}{A_1}\\ {A_2}\\ \vdots\\ {A_m}
\end{ar...
...}$}_2}}\\ \vdots\\ {\,{}^T\!{\mbox{\boldmath$\hat{a}$}_m}}
\end{array}\right]
$

と書けることになる。

なお、すでに何度か使っているが、$(i,j)$ 成分が $a_{ij}$ であるような $m\times n$ 行列のことを、本稿では $[a_{ij}]_{m,n}$ と書くことにする。

竹野茂治@新潟工科大学
2021-09-10